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U.F.O.

ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼーション。
90年代後半、僕の前に突然現れたDJ3人組である。

当時の日本の音楽シーンについては割愛するが、
小室哲哉と小林武史は、好きになれなかった。

彼らが創りたいのは売れる音楽で、
僕が聴きたい音楽ではなかった。

コピーライターとして昼も夜も働いていた。
仕事で売れる音楽は聴いていたので、
その反動だったかもしれない。

乱暴に言ってしまえば、
売れるまでが1番いい時なのだ。
亡くなってから高く評価される芸術も多い。
だからついクラシックに惹かれてしまう。

桑田佳祐はきっと、宇宙人だったのだ。

U.F.O.は、UKのクラブチャートで火がついた。
3人のうち2人が日本人。アシッド・ジャズだ。

ヨーロッパでは、イビサ島が、
ダンス・ミュージック、
クラブ・カルチャーの聖地になっていた。

ハウスやテクノは、あまり好きではなかったが、
ジャズが好きだったことは、前にも触れた。

大学を卒業して僕は、
しばらくダンスから離れていた。

だが踊りを続けている先輩や後輩も多く、
ある日、誘われていたクラブ・イベントに、
たまたま仕事の休みで顔を出すことができた。

そこでU.F.O.のヒット・シングル、
「Loud Minority」を踊る。

仕事で干からびていた僕の心に、
勢いよく水が沁み込んでいく。

懐かしい同胞、新しい仲間との、
邂逅相遇だった。

早速、踊った曲を調べて、
U.F.O.のCDを集めた。

この感覚を忘れていた。
「書を捨てよ町へ出よう」を思い出した。

ソーシャルネットワークの発達で、
自分から情報や刺激を求めることが
億劫になりやすい。

今思えば、僕には宝物がたくさんあるが、
自分から動かなければ遭えないものばかりだ。

あの日、あのクラブに行かなければ、
僕がU.F.O.知ることはなかったと思う。

僕はまた少しずつ、踊り始めた。




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