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第二章

12月の定期演奏会を無事に乗り切り、次回半年後はいよいよベートーヴェン交響曲第7番、となった。

練習日程が発表され、年内に初めての合奏練習があった。もちろん、自分なりに準備はしたが、弾けないところが多くて落胆。
それでも今まで指揮者からはモーツァルトの話ばかりだったので、ベートーヴェンの話は新鮮で衝撃だった。弾けるかどうかよりも、初めて知ることばかりで楽しかった。

それはパート譜を見た時から、漠然と感じていた。音の数も多いが、音の強弱に関する記号が多い。指揮者も最初に言った。ベートーヴェンが難しいのは、リズムと強弱だと。
特に強弱の指示が細かいのだ。スフォルツァンドやフォルテピアノなど、見慣れない記号がたくさん出てくる。
ベートーヴェンの頭には非常に具体的なイメージが出来上がっているのだと思う。弾く人や聴く人の気持ち良さとかは二の次だった。まさに、貴族のための音楽から、市民のための音楽を、目指していた。それはつまり、誰の心の中にもある、音楽の喜びだ。

年末年始、パート譜を見ながら聴き込んだ。誰の指揮、どのオケの演奏がいいか、いろいろ聴いてみるのも、それはそれで楽しかった。
アバドが好きで、ベートーヴェンはベルリン・フィルがいいと思い込んでいた。弦でオケに入って、カール・ベームやウィーン・フィルもいいなと思うようになったのが、嬉しい。

いろんな第7番がある。ベートーヴェンの第7番に近づく喜びを噛み締めたい。

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