社会人から看護師。新卒で慢性期に就職する事について*

新卒で就職するなら急性期が良いというイメージがあります。
私もそう思っていましたが、もともとパートで働いていた病院に就職する事になっていたので、急性期に行くという選択肢はありませんでした。

急性期が絶対にいいのかという点について。
若ければ急性期で勉強したほうがいいと思います。
社会人で看護師になって新卒で急性期に行く人は多いです。

でも慢性期だからダメという事は決してありません。
それは自分が身をもって感じています。
むしろ最近では慢性期だからこそ沢山の知識も、技術も身についていると思います。

例えば・・・
1 血管の難易度は高い
慢性期では比較的症状が落ち着いた方が長期で入院されているケースも少なくなく、若い成人の方はほとんどいらっしゃらず、高齢者が多いです。
そして高齢者の方の血管はそれでなくても成人の若い方に比べると採血やルートを入れるのに難しい血管です。
血管がぶりぶり盛り上がっていることというのは少ないです。
ましてや慢性期で採血、ルートを留置する場面というのは、容態が悪いときなので、なおのこと血管が探しにくく、ルートも取りにくいのです。
そんな中で新卒の頃から鍛えられますから、細くて短い血管、見えない血管でも次第にルートを取る事ができたり、採血ができる技術が身についてきます。
急性期を経験した事がある看護師さんからは「ここでできればどこへいっても採血、ルートが取れるよ」といわれている程です。

2 五感を使って働くことができるようになる
痛い、苦しい、しんどいと自分で伝えられる患者さんならいいのですが、そうではない患者さんが多いので、そんな時、患者さんの急変、辛い症状をいち早く気が付いてあげられるのは看護師です。
だから目で見て、耳で聞いて、触って、感じて、時には匂いを嗅いで、五感を使って異変に気が付かなくてはいけません。
でも慢性期の良い所は、急性期のように患者さんの入退院が激しくないので、長期にわたっていて下さるので、その方の普段の状態を把握しやすい点です。なので、異変にも気が付きやすいです。
何かが違う、いつもより違う、色がおかしい、そんな異変にいち早く気が付けるようになります。

3 一人夜勤で鍛えられたこと
慢性期は看護師1名、ケアワーカー1名の計2名で病棟の夜勤を担当する所も多いです。
急性期では看護師が複数名いるかもしれませんが、慢性期では自分ひとりです。
全て自分でやらなければいけません。異変に気が付くのも自分、対応するのも自分、当直に連絡して適切な指示を貰うのも自分、すべて自分です。
一人夜勤をするようになってから、観察力が研ぎ澄まされるようになりましたし、技術力にスピードも加わるようになりました。
もたもたやっていたら、自分で自分の首を絞める事になります。
ですから、ルートは1回で確保しなければいけませんし、バルンが詰まってしまっていたら交換もすぐにやらなければいけません。
一人夜勤をしていると日勤で沢山看護師がいる事がありがたく思えます。
慢性期だからこそ身につくことじゃないかなと思います。

新卒で慢性期に就職する事は自分のためにならないと悩んでいる人がいたら、それは違うと思います。急性期には急性期の、慢性期には慢性期の良さがあり、全く違う事でレベルアップすると思います。
どこに行ってもやっていける力は慢性期でもついたと自分では思っています。
急性期だと専門知識に詳しくなるかもしれません。循環器内科が長ければ循環器のエキスパートになるでしょう。
しかし慢性期の場合は、浅く広くなので、深くはありませんし、詳しくはなりませんが、沢山の疾患を広く浅くみれるようになる気がします。
ベースにたくさんの疾患を持っていて、それが落ち着いている中で入院しているけれど、突然消化器疾患を発症する事もあります。ベースの疾患は様々で呼吸器、糖尿病、循環器、脳血管疾患等あります。慢性期は広く浅くではありますが、様々な症例を学べると思います。

看護師、看護学生サポートのために使わせていただきます!