コンシューマゲーム機の将棋ソフトの歴史を追ってみる その1 1980年代編

そもそもの定義として

 今回は、これまで同人誌でコンシューマ機の”対局可能な”将棋ソフトについて書いてきたことの振り返り的なものを書いていこうと思う。

 そもそもの定義として、コンシューマゲーム機というのは一般的には家庭用ゲーム機と言われるものである。人によって分かれるので先に明言しておくと、MSXなどのホビーパソコンと言われたものはこの部類に入れていない。ピピンもこの部類に入ると思っているが、将棋ソフトは出ていないので無視する。

最初に出たソフトは結局のところ?

 世間的には、「本将棋 内藤九段将棋秘伝(以下、将棋秘伝)」が最初とされている。どこで読んだのか定かではないので記憶違いかもしれないが、第1回の世界コンピュータ将棋選手権(当初は「コンピュータ将棋選手権」)に招待枠で参加した理由が、初のコンシューマ機の対局できるソフトだったからと記憶している。
 ただ、同年にはスーパーカセットビジョンにて「将棋入門」という対局可能な将棋ソフトが発売されている。Wikiを見ても1985年発売としか書かれていないため、正直どちらが先なのか不明なところである。
 ソフト的には圧倒的に「将棋秘伝」がメジャーであるため、「将棋入門」は分が悪いとしか言いようがない。そんな当方も、存在を知ったのは2019年だったりする。いまだに紹介ができていないので、どこかでその機会を設けたいと思う。

2023/3/11 23:40 追記
「将棋入門」に関して、雑誌からの発売日に関する推測情報を教えてもらいました。「将棋秘伝」の方が先に出たということのようです。


1980年代発売の将棋ソフト

ここで、コンシューマ機で1980年代に発売された”対局可能”な将棋ソフトを見てみよう。
1985年
 ・本将棋 内藤九段将棋秘伝(セタ ファミリーコンピュータ)
 ・将棋入門(エポック スーパーカセットビジョン)
1987年
 ・森田将棋(セタ ファミリーコンピュータ)
 ・谷川浩司の将棋指南Ⅱ(ポニーキャニオン ファミリーコンピュータ)
1998年
 ・ファミコン名人戦(SNK ファミリーコンピュータ)
 ・谷川浩司の将棋指南Ⅲ(ポニーキャニオン ファミリーコンピュータ)
1989年
 ・将棋(ポニーキャニオン ゲームボーイ)

「将棋入門」を除き、この年代では任天堂ハードからしか発売されていない。
詰将棋も含めれば、1983年にSG-1000/SC3000用に「芹沢八段の詰将棋」が発売されていることだけは付記しておこう。

「森田将棋」は元々パソコンで出ていたソフトのファミコン版。将棋ソフトといえばこのタイトルが挙がるぐらい有名なタイトルである。
「谷川浩司の将棋指南」シリーズもすべてパソコンソフトの移植(同一タイトルが出ている)。
ファミコン名人戦に至ってはアーケード版の移植(内容はコンシューマ用にアレンジされている模様)で、将棋ソフトとしては変わり種(1990年代はいくつか出ているが、それはまた別の機会で)。
まだまだこの頃は移植がメインであった。

舞台が携帯ゲーム機に移って、1989年の「将棋」。ポニーキャニオンが出していることもあり、実質「谷川浩司の将棋指南」シリーズの続編ではある。
初めての携帯ゲーム機の将棋ソフトということもあり、歴史に名を刻んでいいと思うが、知名度は圧倒的に低いのが残念である。

ざっと1980年代のコンシューマ機向け将棋ソフトについて上澄みを書いてみたが、まだまだ黎明期というのがわかると思う。
そして、メインで発売していたのがポニーキャニオンの3本。全くイメージができないと思うが、時代を切り取ると面白い事実が浮かび上がってくる。

次回は1990~1992年辺りのことを書いていこうかと思う。発売されるハードもPCエンジン、メガドライブ、スーパーファミコンと世代が移り変わる過渡期である。

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