エルサレムのイチゴ

【第21回】今週のアルジャジーラ〔ルーマニア〕

毎週金曜日に更新するも、既成の金曜日という概念にとらわれることなく、たまに土曜日に更新してみたりして金曜日という概念自体と闘うことを厭わない「今週のアルジャジーラ」。今週はいつも通り金曜日に更新しました。

いつも前置きが長すぎるので、今回はとっとと本題に入る。私が今週気になった記事はこちらだ。今週のアルジャジーラ初登場、ルーマニアである。

Romania: Parliament approves anti-corruption referendum

まずは恒例、地図でルーマニアの位置を確認してみよう。が、日本人としてはあまり馴染みがない国が多く、周辺諸国を見てもなお「どこ?」感が否めない。

ところでルーマニアというと、実際のところは知らないが、首都ブカレストの治安が悪いことで旅人の間では有名な気がする。しかしこのあたりの東欧諸国は、「チェコ好き」の名にかけて人生で一度は訪れてみたい。私は東欧って、まだチェコとオーストリアにしか行ったことがないのだ。

(※これは2008年のチェコ・プラハ)

話を戻すと、このルーマニアの首都ブカレストで、政治家の汚職を免罪にするという緊急命令をめぐって抗議デモが続いているらしい。数万人の人々が、ソリン・グリンデアヌ(覚えにくい名前)政権へ退陣を要求している。

ルーマニアという国の歴史を軽く振り返っておくと、かつてこの国にはニコラエ・チャウシェスクというルーマニア共産党政権の頂点に立つ独裁者がいた。しかし1989年12月に起きたルーマニア革命によってチャウシェスク政権は打倒され、民主国家としての一歩を歩み出す。

そして何と、今回起きた抗議デモは、このルーマニア革命以来となる大規模なものであったらしい。日本でバレンタインデーに反対している非モテデモとはわけがちがう。経済格差と貧困問題に悩まされているらしいルーマニア、今後の動向を見守りたい。ブカレスト、一度行ってみたいなあ。

前回の続き。前回は、日本赤軍による無差別テロ・ロッド空港事件、ミュンヘンオリンピック事件、第4次中東戦争の話をした。

ちょっとここで、4回にわたる中東戦争をすべて振り返ってみよう。こうなる。

第1次(1948年):イスラエル側の呼び名は「独立戦争」。イスラエルはアラブ諸国を圧倒し領域を拡大。
第2次(1956年):またの名を「スエズ戦争」。エジプトとスエズ運河の利権をめぐり争う。米ソの圧力によりイスラエルは撤退。
第3次(1967年):イスラエルが圧倒的勝利を収め、6日間で終わらせたことから別名「6日間戦争」。ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、シナイ半島、ゴラン高原を占領。

(※2016年に訪れたヨルダン川西岸地区、ベツレヘム。バンクシーのストリートアートで一躍有名になった町。このグラフィティは、火炎瓶を花束に持ち替えようという平和のメッセージが込められた『花束を投げる男』)。

第4次(1973年):別名ヨム・キプール戦争。アラブ諸国の奇襲によりイスラエルは苦戦。オイルショックを引き起こす。

そして今回は1987年あたりから話を始めようと思うのだけど、この年に起きたのが、「第1次インティファーダ」である。またその第◯次とかいうやつやめろよとも思うが、インティファーダとはようするに、パレスチナの民衆の蜂起である。そしてここで、イスラム系の抵抗運動を行う組織ハマスが誕生する。ハマスというと、日本の報道ではよく「イスラム原理主義組織ハマス」なんてふうにいわれ、あたかもテロ組織のようだが、これはちゃんとしたパレスチナの政党である。

その前に、年代が前後して申し訳ないが、PLOとファタハについても触れておかねばならない。PLOとは「パレスチナ解放機構」のことで、1964年にアラブ連盟によって創設されている。そして1957年に組織されたファタハが、1967年にこのPLOに加入している。ものすごくざっくりいうと、ハマスは政党なんだけどちょっと過激派で、ファタハは和平・穏健派だ。

そして1993年の「オスロ合意」。クリントン大統領が仲介をし、イスラエル:ラビン首相と、PLO:アラファト議長が握手している写真が有名だ。これにより、イスラエルとパレスチナは一気に和平が進むと思われた。

File:Bill Clinton, Yitzhak Rabin, Yasser Arafat at the White House 1993-09-13.jpg

が、翌々年の1995年、右派のユダヤ教青年が写真左側のラビン首相を暗殺。進むかと思われた和平は後戻りし、イスラエル国内で右派と左派が対立することになってしまった。このあたり、よく読むと『ONE PIECE』の魚人島編みたいな話である。

長きにわたって紀元前から振り返ってきた中東の歴史だけど、次回かそのまた次回で最終回を迎えられそうだ。

それでは、来週もがんばっていきましょう。


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