宗教界が声を上げる集団的自衛権反対――池田大作本と公明党の矛盾と困惑とは?

――7月1日に行われた臨時閣議によって、他国を武力で守る「集団的自衛権」の行使容認が閣議決定された。そしてこの決定を受け、今、宗教界が揺れている。長年、政治に対する意見表明を大々的に行うことのなかった宗教界が、なぜ今、声を上げているのか――。「集団的自衛権」の背後で垣間見られた宗教界と公明党の変化について、宗教学者・島薗進氏と共に読み解いていきたい。

島薗 進(しまぞの・すすむ)
1948年、東京都生まれ。宗教学者。東京大学大学院人文社会系研究科教授を経て、現在は上智大学教授、東京大学名誉教授。近代以降の日本の宗教史の研究を中心に、世界の諸地域の宗教のあり方の比較研究を行う。近年は、死生学の研究にも取り組んでいる。

――「集団的自衛権」の行使容認が閣議決定されるにあたっての、宗教界全体の動向から教えてください。

島薗進(以下、島薗) 現在に至るまで、キリスト教や仏教などの伝統宗教から、立正佼成会をはじめとした新宗教まで、多くの宗教団体が閣議決定への反対を表明していると思います。これほど宗教団体が政治的な問題に意見表明を行うというのは、実は非常に珍しいことなんです。

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