家制度の文化が薄れ、違憲となった法律も? 悪法は司法でどう扱われたのか? 最高裁が違憲判決を下した法律
――日本国における絶対的ルールである憲法。その憲法に反するという違憲判決が最高裁で下された法律は、「悪法と認められた法律」と言うことができるだろう。そこで法律のプロである弁護士2人に、最高裁で違憲判決が下された法律と、その背景について解説してもらった。
『最高裁の違憲判決~「伝家の宝刀」をなぜ抜かないのか~』(光文社新書)
我々庶民の心に“もっとも寄りそってくれる法律のプロ”は弁護士だろう。彼らの目から見て、「悪法」はどのように捉えられているのだろうか? 弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士、志賀勇雄弁護士に話を聞いた。まず山岸氏は「弁護士は『悪法』という言葉はまず使わない。出来不出来、良し悪しはあるにしても、一度、立法府(国会)が制定し、天皇陛下が公布した以上、法律は法律」と説明する。
「ただ、日本国における絶対的ルールである憲法に反する=違憲と判断された法律は、いわゆる“悪法”ということもできます。日本の司法においては、法令について最高裁で違憲判決が出ることは非常に稀なので、その実例についていくつかご説明します」(山岸氏)
ひとつ目の例として挙がったのは「かつての民法900条4号」だ。
「かつて、この法令の但書には、『嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし』という規定がありました。つまり、愛人などの子どもの場合は、法律婚の夫婦の子どもと比べて相続できる財産が半分になっていたわけです。
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