MVには銃やトリップ要素がふんだんに!――元売人トリオと契約したエミネムの温故知新

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(右から)ベニー・ザ・ブッチャー/コンウェイ・ザ・マシーン/ウエストサイド・ガンで構成されるグリゼルダ。この世界観、あの頃を尋ね求めている感じ!(写真/Getty Images)

――2017年、エミネムが主宰するレーベル〈シェイディ・レコーズ〉と契約したヒップホップ・グループ、グリゼルダ。ドラッグ抗争で絆を深めたトリオのスタイルとサウンドは、どこか懐かしくあたたかみ。

 ラッパーに関する情報の中でも、エミネム絡みのものは日本のメディアを通じて、いまだに結構伝えられている印象がある。だが、彼自身のレーベルであるシェイディ・レコーズを通じて配給契約を結んだ、ラッパーのウエストサイド・ガンとそのレーベル、グリゼルダについては扱いが小さかった。

 ニューヨークのバッファローを本拠地とするこのレーベルの核となるのはガン、その弟のコンウェイ・ザ・マシーン、そして、ベニー・ザ・ブッチャーの元売人トリオだ。子どもがするような連射銃の発砲音の口真似を、曲中で自分の登場時などにアドリブでかます現在38歳のガンは、かなりの量のドラッグを売りまくり、銃撃戦と刑務所とスタジオを行き来していたという。彼が音楽活動を本格的に始めたきっかけは、ラッパーとして先に活動していたコンウェイが、ミックステープのプロモ巡業から地元に戻った際、何者かに銃撃され、1発が肩、もう1発が後頭部に当たるという事件だった。この銃撃で顔面半分が麻痺し、ラッパーとしてキャリアを断念しかけたコンウェイに対し、ガンは仲間のベニーと共に、「顔面麻痺でもラップはできる」と自信を持たせたい一心で売人から完全に転身したのだった。実は、ベニーにもラップを嗜んでいた兄がいたが、銃撃戦で命を落としている。最新アルバム『WWCD』では、「もしも兄貴が戻ってくるなら、すべてを差し出す」と訴えている。

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