【東大卒芸人・藤本敦士のオススメ本】北里柴三郎は、幻の受賞者?黄色人種を差別したノーベル賞の闇

――中公新書から出された『応仁の乱』がバカみたいに売れている。日本史関連の書籍としては異例のことだというが、知られざる史実をつまびらかにしたような本当に面白い書籍は、ほかにもあるのではないか――。そんなヤバい“日本史”本15冊を、歴史学者や社会学者、ジャーナリスト、お笑い芸人らに紹介してもらった。

藤本敦士(ふじもと・あつし)

よしもとクリエイティブエージェンシー所属。07年結成の漫才コンビ・田畑藤本のボケ担当。東京大学工学部機械工学科卒という屈指のインテリ芸人。THE MANZAI 2014認定漫才師。

マンハッタン計画で1945年7月16日に世界で初めて実施された原爆実験、トリニティ実験。(写真/Glasshouse Images/アフロ)

 家の本棚に、まさに今回の企画にピッタリじゃないかという本がありましたよ。『天才と異才の日本科学史』【1】という本なんですけど、これは面白いです。もともとは『ウソかホントかわからない やりすぎ都市伝説』(テレビ東京系)に出るためのネタ探しとして買ったんですけど、ノーベル賞を取った日本人の裏話が満載だったんです。

 例えば、日本人初のノーベル賞受賞者は1949年に物理学賞を取った湯川秀樹さんですけど、実は1901年の第一回で、本当は日本人が受賞していたはずだったなんて話があるんですよ。それがドイツで伝染病の研究をしていた北里柴三郎でした。北里は、九州人気質でバリバリ働いて成果を挙げて、海外でもすごく評価を得ていた科学者。でもその研究論文の筆頭の名前をドイツ人のベーリングという研究者にしていたことを理由に、なんとノーベル生理学・医学賞を逃してしまったんですよ。実はそこには裏がありまして……のちに出てきた資料から明らかになった。この本によれば、そこには「第一回のノーベル賞を立ち上げるにあたって、黄色人種はふさわしくない」といったことが書かれてみたいなんです。そんなわかりやすい差別で、日本の科学史が変えられてしまっていたわけです。

 でもこの話、残念で終わらないのが、もうひとつ面白いところなんです。実は北里が帰国したあと、「これだけの男を援助しないのはもったいない」という話が日本国内であがって、政府がある男に相談を持ちかけたんです。それが福澤諭吉。これを受けた福澤は、なんと自分の土地や資材を惜しみなく北里に提供して、研究所を作って援助したそうです。「学者を助けるのは私の趣味だから」みたいなことを言ったそうなんですけど、かっこいいですよね。彼がいなかったら、その後の日本人ノーベル賞受賞者もいなかったかもしれないというくらいの功労者ともいわれていて、日本の科学史にも大きく貢献した偉大な人物だったんです。

 ほかにも面白い話がたくさんありまして。「味の素が脳を動かしている」なんて見出しだけでも面白いですよね。これは脳の神経伝達物質っていうのがなんなのか、ずっとわかっていなかったんですけど、そのうちのひとつがグルタミン酸であることが明らかになりまして。グルタミン酸は昆布のだしなんかに含まれる旨味成分として知られていたので、そこから「味の素が脳を動かしていたんだ」といった話になったみたいですね。

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