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「裏」社会学【2018年4月号第1特集】

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記事一覧

女性は家族の奴隷?――デュルケームが触れなかった宿命的自殺

前記事「男女共同参画で若い女性の自殺率が増加!?——なぜ毎年一定数の人が死ぬのか? 自殺大国・21世紀日本の自殺論」では「自殺の4類型」をもとに、現在の自殺について考えてきたが、登場したのは3つだけ。残された宿命的自殺とは、一体なんなのか?

エミール・デュルケーム

 デュルケームは『自殺論』の中で、自殺を「自己本位的自殺」、「集団本位的自殺」、「アノミー的自殺」、「宿命的自殺」の4つの類型に分

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男女共同参画で若い女性の自殺率が増加!?――なぜ毎年一定数の人が死ぬのか? 自殺大国・21世紀日本の自殺論

エミール・デュルケームによる社会学の名著『自殺論』が発表されてから120年以上が経ったが、いまだに自殺はなくならない。当時と比べて世界的に豊かになったはずなのに、なぜ自殺は絶えないのだろうか? 心理学や精神医学の文脈で語られがちな自殺問題を、社会学的に考察してみよう。

 警察庁の統計によると2017年、自ら命を絶った人の数は2万1302人(暫定値)。1998年~11年の14年間にわたって毎年3万

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リル・ピープ、XXXテンタシオン、リル・パンプetc…ラップとドラッグの関係とは? ドラッグを歌う旬なUSラッパーたち

コカインからザナックスまで、今アメリカで蔓延する薬物を文化的に考察する上でハズせないのが、前記事でも触れたこれらのラッパーだ。

■過剰摂取で他界した時代の寵児

Lil Peep

ロサンゼルスを拠点としていた白人ラッパー。90年代のグランジやオルタナティブ・ロックのサウンドをトラップのビートに落とし込み、自殺や鬱などについてラップ。2017年11月、フェンタニル(疼痛緩和の合成オピオイド)とザ

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処方薬もロックも飲み込んだ最新形ヒップホップ――抗不安薬蔓延で鬱ラッパー増殖!? 米国ドラッグ文化の狂った現状

——人気を博しているアメリカのラップ・ミュージックを聴くと、コカインやウィード(大麻)のような語句が登場する一方、ザナックスやリーン、パーコセットといった薬物も歌われる。そして、そうしたクスリの過剰摂取で命を落とすラッパーもいるのだ。今、米国のドラッグ・カルチャーは一体どうなっているのか——。

2017年11月にオーバードーズで他界したリル・ピープのアルバム『Come Over When You

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学術誌を読み、図書館に行き、学会に参加……編集者も学者並みに勉強する! 学術論文が書籍になるまで

——前記事「西成から歌舞伎町、ホームレスまで——ヤバい現場に入り込んで調査! 社会学でわかる日本の裏の顔」では主に博士論文が書籍化されたものを見てきたが、そもそも、学術書はどうやって作られるのだろうか? 新曜社の高橋氏に聞いてみた。

『学術論文の技法』(日本エディタースクール出版部; 新訂版)

「学術書の編集者は日頃から学術雑誌は読んでおり、さらに大学図書館に行ったり、学会大会に参加するなどし

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西成から歌舞伎町、ホームレスまで――ヤバい現場に入り込んで調査! 社会学でわかる日本の裏の顔

——社会学とは、誰もが知っている日常を研究対象として、そこに生きる人の目線で、我々が見ているのとは違う事実が隠れていることを探る学問。それでは、そんな社会学者が裏の社会を自らの足を使って研究したら、何が見えてくるのだろうか?

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マンガ業界を破壊に導く?――収益は1カ月1億円超えか!? 10億PV「漫画村」の【裏】錬金術

——「ネット上に落ちている画像を機械で収集して保存しているウェブ型クローンサイト」という名目で、無料で数多くのタイトルが閲覧できる「漫画村」。著作権上の問題を指摘する報道が増える一方で、有料サービスのリリースを発表。摘発の可能性を伝える報道も増えているが……。

『漫画村PRO』のスタートを予告する漫画村。

 年明けからメディアの報道も増え始め、NHKも2月に『漫画の危機!? 海賊版サイトの実態

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ウシジマくんの仲間を救え!――サイゾー救命救急チーム出動! 残虐描写の生存率を医者がジャッジ!

ここでは「ウシジマくん」以降のマンガから選りすぐりの残虐シーンをピックアップ。凄惨な拷問を受けたキャラクターたちを、サイゾー救命救急チームが診療!

[サイゾー救命救急チームとは?]
都内病院に勤める医者・ナースによって結成されたチーム。マンガの登場人物をいたってマジメに診療・診察。空想科学的治療を施す。

カルテ【1】
『闇金ウシジマくん』

真鍋昌平/小学館
「ビッグコミックスピリッツ」で連載

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『闇金ウシジマくん』は現代の病理か? 写し鏡か?―― 実写化不可能なグロシーン! 「裏社会系マンガ」残虐性進化論

『闇金ウシジマくん』『ギャングース』『善悪の屑』——ヤクザや半グレ、復讐屋など「裏社会」の人々を過激に描いたマンガが続々と実写化され、人気を博している。マンガはなぜここまで残虐に進化していったのか……そこには『闇金ウシジマくん』の登場と、社会情勢が密接にかかわっているという。

『闇金ウシジマくん 42』(小学館)

 ヤクザやマフィア、半グレ(暴力団に所属せずに犯罪を繰り返す集団)などのアウトロ

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週刊誌が先鞭をつけたプリンセス“婚約者”報道――眞子さまの結婚破談は確定か? 過熱する皇室報道とメディア問題

——皇室が揺れている——。言うまでもなく、眞子内親王の婚約者・小室圭氏の母親が抱える金銭トラブルだ。現状、宮内庁はこれに対して沈黙を守り続けている中、各週刊誌の報道は過熱する一方ではあるが……。一連の記事を“メディア問題”として考えてみたい。

第一報を伝えた「週刊女性」(17年12月26日号)。

「私たちは、今まで結婚に関わる様々な行事や結婚後の生活にむけて、二人で話し合い、それぞれの親や関係

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元SMAPほか、忖度で消えるタレントたち……バーニングのゴリ押しが執行不能!?テレビ局の芸能行政に地殻変動

——芸能界とマスメディア——特にテレビ局では、芸能事務所との調整で毎年のドラマ出演者などが決まっている。こうした商習慣は「芸能行政」とよばれ、一部の制作陣や芸能マスコミからは揶揄の対象となっている。これまで多くの芸能系メディアがこうした行政について報じてきたが、このところ少し構造が変化しているようだ。

(絵/鈴木裕之)

 今年1月、芸能界にひとつの転機が訪れました。公正取引委員会が、タレント

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体育教師に調教されたフルボディ! ランジェリーヤクザが本気のグラビアに初めての挑戦!!

【拡大画像はグラビアギャラリーでご覧いただけます。】

(写真/ティム・ギャロ)

——「父のDVがヒドくて」「中学卒業まで体育教師に性の調教をされてて」「17歳のときにヤクザの組員の人と付き合っていて」——本誌15年11月号にて壮絶な人生を語り尽くした、レゲエダンサーのランジェリーヤクザことMIKUちゃん。裏社会特集のグラビアを飾るのは彼女しかいない! ということで、神戸から遠路はるばるやってき

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未来を予測するデータ社会の実像――コーラでデータ収集! 企業の情報ビジネス

フェイクニュースが蔓延しつつある一方で、一般企業でもデータの収集と利活用に余念がない。購買情報だけでなく、個人の身体や思考まで抜き取り何かしらに転用される実態を見てみよう。

自動販売機と連動したコカ・コーラのスマホアプリ。ジュースを買うたびにかざしてポイントを貯めると、ジュースが1本もらえるが……。

 あらゆる産業において、データの収集・活用が積極的に進められようとしている。その背景には、スマ

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