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ヤバい本150冊【2019年7月号第1特集】

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記事一覧

累計5400万部・50年超黙殺されてきた大作――『人間革命』本としての評価

――創価学会の池田大作名誉会長による『新・人間革命』が昨年完結を迎えた。同シリーズは毎年ベストセラーになることから、学会員ではなくともその存在は知られているが、この本の「物語」や「商品」としての出来はどんなものだったのだろうか?

『人間革命』は第二代会長・戸田城聖の激動の半生と、教団立ち上げまでを第三代会長・池田大作が書き上げた。

 出版取次大手の日販とトーハンが発表した、今年上半期のベストセ

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出版社が児童書市場に群がるが……学校でケータイ小説は読むな!「朝の読書」のイビツな思惑と規則

――小・中・高等学校で推進されている「朝の読書」。毎朝、始業前の10分間で行われるこの活動は、教師、親、出版社、子どもの“思惑”が複雑に絡まる。また、読む本に関して奇妙な“規則”もある。マンガやネット文化に詳しく、「子どもの読書」も調査するライターの飯田一史氏が、各種データや現場の声からその実態を分析する!

子ども人口と児童書販売金額
※出典:『2019年版出版指標年報』公益社団法人全国出版協会

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差別を受ける人の決死の訴え――増加する脱北者文学



『日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩』(アジアプレス出版部)

――北朝鮮から逃げ出した人たちが、この問題に対する警鐘を鳴らすため、はたまた生活の糧として書籍を書くことがある。こうした脱北本とも呼べる書籍が徐々に生まれつつあるようだ。

 移民本としては北朝鮮から他国に亡命した脱北者の実情を描いた、いわゆる「脱北本」も見逃せない。脱北者の数はすでに3万人以上にのぼっており、世界各地で生活

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ロンドンボーイとムスリム系移民の熱い友情も!――世界の移民たちが叫ぶ幸福論

――入管法の改正や旅行者の増加もあって、移民問題が議論されるようになった日本。だがいまだ、移民たちがどのような生活をし、アイデンティティの悩みを抱えているかといったことを知る機会は少ない。本稿では、前記事のアジア圏からの移民本に続き、世界各国の移民をテーマにした文学を、紹介していこう。

文学だけでなく、映画でも移民をテーマとした作品は多い。こちらもパリ郊外の集合団地の暮らしが垣間見える良作だ。

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人種の社会問題を反映する書籍群――他者の目で知る国家の多面性! アジア移民文学に見る差別の現実

――今、アメリカで『PACHINKO』なるタイトルの小説がベストセラーになっている。在日朝鮮人一族を描いた同作は、差別や移民に対する風当たりを浮き彫りにしているが、そのほかにも、アジア移民をテーマにした作品は多い。それらの書籍は、一体何を訴えかけているのだろうか?

『よい移民: 現代イギリスを生きる21人の物語』(創元社)

 大阪や横浜を舞台に、ある在日朝鮮人の一族の歴史を描き、アメリカで最も

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『Santa Fe』と幻冬舎が“新聞”を変え、『脳内革命』が“交通”を変えた――ベストセラーを生む書籍広告の変遷

――出版不況が叫ばれる中で、それでもベストセラーは生まれ続けている。それに大きく寄与しているのは、なんといっても書籍広告だろう。新聞や交通広告、テレビやウェブなど、無意識のうちに書籍の広告を目にする機会は多い。こうした書籍広告の変遷を、識者のコメントを交えながら概観していく。

『この1冊ですべてわかる 新版 広告の基本』(日本実業出版社; 新版)

 店頭に並べておけば本は売れる、といわれていた

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ベストセラーから名言集まで!――Fカップ「椿原愛」早朝の書店で語る偏愛“乱読”書論

【拡大画像はグラビアギャラリーでご覧いただけます。】

(写真/斎藤大嗣)

――走り高跳びでインターハイや国体出場歴を持つ、鍛え抜かれた体とは裏腹なFカップの美乳を携えた椿原愛さん。「普段から本を読むのが大好き」と語る彼女と、営業前のリアル書店早朝グラビア撮影を敢行しました。

 早朝撮影、お疲れさまでした。椿原さんは普段から読書が好きということで、本誌「本」特集のグラビアに登場していただきまし

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【橘ケンチ×手塚マキ】EXILEとホストクラブ経営者が語る読書の愉楽――“仲間への愛”に気づく読書論

――毎年恒例になってきた夏の「EXILEと本」企画も今年で第三弾。今回はEXILEきっての読書家・橘ケンチ氏にご登場いただき、「本」を通じて新たな出会いをかなえてもらった。歌舞伎町での書店経営や、ホストクラブでの読書会など、一風変わった読書の楽しみ方を提供する手塚マキ氏との邂逅は、果たしてどんな化学反応を起こすのか……。

この日、初対面とは思えないほど会話が弾んだが、中でも盛り上がったのは「酒」

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ブラックミュージックが世界を席巻する理由――差別、文化、そして神への信仰! 識者が推すラップ現代史選書

――全米の音楽チャートのトップ10すべてがラップという状況も、今やめずらしくなくなった昨今。日本でも今なおフリースタイル・バトル熱が継続する中、「なぜヒップホップがここまで巨大産業になったのか?」を、近年刊行された書籍を中心に徹底分析。音楽はもちろん、映画や宗教といった角度からも攻めてみよう。

16年に発表したミックステープ『Coloring Book』がグラミー賞で「最優秀ラップアルバム賞」を

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刑務所で食らった本とは? A-THUGとBESが激白! ラッパーの“獄中読書”

――先ごろ、再始動した伝説的ヒップホップ・グループのSCARS。リーダーのA-THUGと重要メンバーのBESは刑務所に服役したことがあるが、収監中にどのような読書をしていたのだろうか――。獄中で喰らった本たちについて、2人が赤裸々に語る!

(写真/西村満)

“言葉”を生業とするラッパー。その中には刑務所にブチ込まれることになった者も少なくない。“塀の中”といえば、世間の情報が限りなくシャットア

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ご利用は自己責任……でもダメよ! ダークウェブお買い物案内

――法の及ばないダークウェブのマーケットをのぞいてみると、そこではさまざまな違法商品が取引されていた。いったい、その商品棚はどうなっているのか?

[ドラッグ]レモンヘイズ
価格:2.5g=25ユーロ

コカイン、ヘロイン、LSD……と、多くのドラッグが取引されている様子。ただし、税関の厳しさから日本は発送対象外のことも多いようだ。

[偽造パスポート]マレーシア
価格:450ユーロ~

各国のパ

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『ネトウヨ』が台頭し消えた理想郷――インターネットは誰が殺した!? ネットの自由を啓発する思想書

――近年、さまざまな形でインターネットの歴史を振り返る回顧企画が行われている。リアルな生活にも大きな革命を引き起こしてきた一方、ネットの片隅では、時に法を犯しながらその世界を作り上げていった。ディープウェブ、サイファーパンクなど、インターネットの「裏」面の現在とは?

スティーブ・ジョブズも禅思想に傾倒していたことは有名ですよね~。

 89年にWorld Wide Webの仕組みを考案し、『We

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出版業界が無視してきた企画たち! クラウドファンディングの“ヤバい”本

――最近の出版業界のはやりといえば、なんといってもクラウドファンディング。今年5月には幻冬舎も共同出資する「EXODUS」が本格的に始動するなど、出版関係各社が乗り出す中、実際にはどんな出版プロジェクトが動いているのだろうか? 「ヤバい本」というテーマを掲げて、探ってみた。

17年末の発表から1年以上たち、今年5月に始まった「EXODUS」。ここまで遅れた理由については「両社ともモチベーションは

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出版社・書店の未来は赤信号!? 百田騒動、LGBT、配送遅延……根深~い出版業界の諸問題

――「新潮45」や「週刊SPA!」の炎上、さらには百田尚樹による『日本国紀』のコピペ疑惑に端を発する幻冬舎問題……。昨今の出版業界では、世の中の変化に対応しきれないメディア関係者がさまざまな騒ぎを起こしている。今表面化しつつある物流上の問題なども含め、業界に潜む諸問題とは?

『出版状況クロニクルV』(論創社)

 ネトウヨの増加、政権とメディアの癒着ともいえる蜜月関係、やっと問題視されるようにな

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