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ドラッグの教科書【2020年12月号第1特集】

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2020年11月の記事一覧

もっと知りたい人のために――CBDがよくわかるブックガイド

――前記事だけでは満足できないという人のために、こちらではCBDについて詳しく書かれた本を紹介。入門書から専門書まで、多角的な視点をもたらしてくれる4冊をご堪能あれ。

【1】信頼できる製品の見つけ方
『CBDのすべて 健康とウェルビーイングのための医療大麻ガイド』

アイリーン・コニェツニー、ローレン・ウィルソン、三木直子(訳)/晶文社/19年

腫瘍科のベテラン看護師による、読みやすく、わかり

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「大麻の茎や種から抽出」と謳うが……美容&健康業界で盛り上がる大麻成分CBDのグレーゾーン

――最近、CBDという単語を目にした読者がいるかもしれない。大麻に含まれる成分であるが、ハイになるものではなく、それを配合したオイルやクリームが街中のコスメショップで売られ、オーガニック/ウェルネス志向の女性にウケている。ただ、大麻由来ということもあり、法的に問題はないのか――。CBDブームの実情に迫る!

吉川ひなの監修のフレグランス「tiare ala MEDICARE」はCBD配合とのことだ

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米国ではオピオイド、日本ではベンゾの被害が蔓延――弱者を依存症と死に追いやり日米社会を蝕む処方薬の闇

――米国ではミュージシャンのプリンスや俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンが過剰摂取し、その死亡の原因となったオピオイド。2017年にはトランプ大統領が非常事態を宣言するなど、近年は“オピオイド危機”と呼ばれる社会問題になっている。そうした状況は対岸の火事にも思えるが……。

2016年4月、オピオイド系鎮痛剤の過剰摂取によりこの世を去ったプリンス。(写真/Kevin Winter/Getty I

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「医師に食い下がる薬剤師などいない」!?――「アンサング・シンデレラ」を薬剤師はどう見たか座談会

――世間的なヒットはできなかったものの、今年の夏クール、薬剤師にスポットを当てた珍しいドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』が放送された。医師や看護師に耳目が集まることはあるが、では今回改めて注目された薬剤師たちは、このドラマをどう見たのか?

ドラマ版は、田中圭や西野七瀬など今をときめくタレントが目白押しだったが……。

 連続ドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(

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“ドラッグ”は人類の旧き友――鎮痛効果、嗜好品、そして戦争へ。医薬の鬼子“ドラッグ”1万年史

――有史以前からその存在が確認され、使用されていたという「ドラッグ」。ときに鎮痛効果をもたらし、ときに嗜好品として愛でられ、そして戦争をも巻き起こした“人類の旧き友”に、なぜ我々は翻弄されるのだろうか。そんなドラッグと人類の1万年史に、気鋭のサイエンスライターが迫る――。

『世界史を変えた薬』(講談社)

 日本で「ドラッグ」といえば、多くの場合、精神に対して作用を及ぼす、乱用薬物を指す言葉とし

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実在した「阿片王」も登場する!?――『満州アヘンスクワッド』禁断の麻薬と昭和の裏面史

――今もっとも注目されているマンガ、『満州アヘンスクワッド』をご存知だろうか。本作は満州という日本の傀儡国家を舞台にした、アヘンの製造と流通がテーマのクライムサスペンスだ。一体、なぜこのような歴史のタブーに挑戦するのか? 作者たちに語り合ってもらった。

(写真/Ikki Fukuda)

 時は昭和12(1937)年、場所は満州国。戦地で負傷し、右目の視力を失ったことから、軍の食糧を作る農業義勇

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「物質レビュー」マンガのキメねこが描く!――『ミッドサマー』ドラッグ表現の最前線

――【編集部より】ツイッター等で「物質レビュー」マンガ(フィクションです。作中で描写される人物、出来事、物質はすべて架空のものであり実在のものとは関係ありません)が人気のキメねこさんが本誌に登場!

 取り上げる映画は、日本では今年公開された『ミッドサマー』。スウェーデンにある村の夏至祭を訪れた大学生たちが、カルト的共同体の祝祭に飲み込まれていくさまを描き、人気を博した作品です。

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MVには銃やトリップ要素がふんだんに!――元売人トリオと契約したエミネムの温故知新



(右から)ベニー・ザ・ブッチャー/コンウェイ・ザ・マシーン/ウエストサイド・ガンで構成されるグリゼルダ。この世界観、あの頃を尋ね求めている感じ!(写真/Getty Images)

――2017年、エミネムが主宰するレーベル〈シェイディ・レコーズ〉と契約したヒップホップ・グループ、グリゼルダ。ドラッグ抗争で絆を深めたトリオのスタイルとサウンドは、どこか懐かしくあたたかみ。

 ラッパーに関する

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ドラッグ疲れでメディテーション――大麻・瞑想・オーバードーズ! 米ドラッグビジネス最新事情

――アングラだろうがメインストリームだろうが、ヒップホップとドラッグの関係は今も昔も揺るぎない。「売人」であった彼らが、いつしか「ユーザー」となり、果ては正規の「ビジネス」までに発展させる。そんな彼らのリリックや生きざま、昨今垣間見られる温故知新も追いながら、アメリカのラッパーとドラッグの密接な関係を見ていこう。

(絵/長嶋五郎)

 去る10月、ジェイ・Zが新たにマリファナ・ブランド〈モノグラ

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サイケデリックなマインドフルネス――『ミッドナイト・ゴスペル』を正しく観る方法



「観るドラッグ」などと形容されるNetflix配信作品『ミッドナイト・ゴスペル』。だが、このサイケ・アニメは事前に情報を入れずに観るのが一番「何これ?」という衝撃がある(知った上で見ると「ふーん」でしかない)。だから、基本情報はあえて記さない。

 設定としては、未来の世界(?)で少年がシミュレータを使ってさまざまな並行世界を体験、そこで会った人にインタビューする、というもの。作中で行われてい

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うつ病やPTSDに効く? LSD、MDMA、キノコ……医学的研究が進む幻覚剤

――LSD、MDMA、マジックマッシュルームといった幻覚剤。日本ではいずれも違法薬物だが、最近、アメリカの有名大学などでこうしたものの医学的利用を探る研究が進んでいる。そして、さまざまな治療効果が徐々に明らかになりつつある――。これは、ヒッピー時代の“神話”ではない。幻覚剤をめぐる最先端の学術研究である。

原著は2018年に出版されたマイケル・ポーランのノンフィクション『幻覚剤は役に立つのか』(

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なぜ「たかだか大麻 ガタガタぬかすな」とラップするのか――舐達麻がブチかますコンプラ無視の【超】大麻論

――ここ数年、日本でもっとも話題のラッパーといえば、舐達麻の3人をおいてほかにはいない。注目を集めるのは第一に、自身と大麻をめぐる現実について前例がないほど“直接的”にラップするからである。だから、今回の特集には欠かせないこのヒップホップ・グループに、大麻について大いに語ってもらおう。

(写真/西村満)

「たかだか大麻 ガタガタぬかすな」――。こんな単刀直入なラップのリリックが、2018年後半

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大麻の合法ビジネスは白人が牛耳る!――「大麻と人種」に迫るドキュメンタリー



――過去のアメリカの大麻規制は、黒人やメキシコ系を標的にしていた――。Netflixの『グラス・イズ・グリーナー』は、大麻から人種問題を追及する。

 2019年に公開されたNetflixのドキュメンタリー『グラス・イズ・グリーナー:大麻が見たアメリカ』。ジャズ、レゲエ、ヒップホップといった黒人音楽と大麻は非常に密接な関係があり、数々の音楽家が大麻を愛し、大麻について歌ってきた。ヒッピー時代に

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なぜ合法化が進むアメリカで“密造大麻”が流通?――THCリキッド市場が拡大! 日米マリファナ最新(裏)事情

――大麻は着火して煙を吸うイメージがあるだろうが、電子たばこで気化して摂取するものが日本の一部で浸透しつつある。一方、合法化が進むアメリカでは、密造大麻、擬似大麻が闇市場で出回っている――。一体、何が起きているのか? ベストセラー本『ルポ 川崎』(小社刊)の著者・磯部涼氏が、日米の大麻ビジネスの最前線を追う。

(写真/Getty Images)

 日本における新型コロナウイルス禍は感染者数とい

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