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『21世紀の資本』と並ぶ経済論文【2015年3月号第2特集】

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記事一覧

【社会学者・橋爪大三郎×宗教学者・島薗進】宗教的、社会学的「人類の衝突」

――イスラム教をめぐる昨今の事件は、日本にとって多くの問題を投げかけることとなった。そもそも、日本の宗教観は諸外国とはまったく異なっており、我々日本人には理解し難い部分も少なくはないはずだ。そしてさらに2015年はオウム事件から20年を迎える。こうした中、現代の日本社会と宗教の関係について、我々はどのように考えるべきなのだろうか?

(写真/江森康之)

 人間の文明は、なぜ互いに衝突し合うのか―

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1分でわかる『21世紀の資本』特集も!? ピケティに便乗しまくる雑誌レビュー

――ピケティ、そして『21世紀の資本』に関連した経済論文のことはよ~くわかった! では、(サイゾー含む)商魂たくましい日本の出版業界は、このブームにどう便乗してきたのだろうか? 当記事では、日本の出版メディアによるピケティと『21世紀の資本』の関連記事を、サクサクサクっと総ざらい!

『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!』(あさ出版)

 まず、日本の雑誌でこのブ

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【松尾匡】安倍政権の自国中心経済は勘違いのたまもの? 経済理論が政策に与えた影響と誤解

――ここまでは、ピケティ評や過去のノーベル経済学賞について紹介してきたが、では経済学は現実の経済政策にどう反映されてきたのか。『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』(PHP新書)が話題の立命館大学経済学部教授の松尾匡氏に、ケインズやハイエクらによって影響を受けた経済政策と今後の方向性について聞いてみた。

『新自由主義―その歴史的展開と現在』(作品社)

 この数十年間、特に経済政策に影響を与えた学者

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【大竹文雄】格差対策を考える上で不可欠な"普通の人"の行動をもとにした経済学

――ピケティが『21世紀の資本』で唱えた「格差論」に対し、大阪大学の大竹文雄教授はその"ズレ"について指摘してくれた。「日本の所得格差は特に拡大していない」という今、本当に読むべき経済学論文とは?

『経済は感情で動く―― はじめての行動経済学』(紀伊國屋書店)

 ピケティの『21世紀の資本』は、端的にいえば、大金持ちの資産が社会に与える影響を示したものです。これまで、経済成長がその社会における

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【稲葉振一郎】ピケティとは違う形の”格差問題”途上国はなぜ発展できないのか?

――ピケティは市場経済がある程度正常に機能している国家における格差を問題にした。しかし、本当に重要なのは、そもそも先進国になれない最貧国が抱えている問題ではないのか?

『途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法』(みずのわ出版)

 ピケティによる研究の個人史を眺めた場合、彼が若いときに書いていた論文は、実は非常に数理的で抽象的なものです。それが認められて、彼はマサチューセッ

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【飯田泰之】日本にも存在するピケティ的な伝統――豊富な歴史データを生かした研究を!

――過去の膨大なデータを読み込むというピケティの手法は、研究方法としては特段新しいものではなかった!?世界でもまれに見る豊富な歴史的経済データと、それらを縦横に分析してみせる学問的伝統、そしてそれらを活用した今後の経済学の可能性を探る!

『総図解 よくわかる日本の近現代史』(KADOKAWA)

 日本においてピケティ型の論文の可能性を考える際に絶対外してはいけないのが、『長期経済統計 推計と分

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