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日本メディカルAI学会公認資格を取得しました

こんにちは、Cyrus(@cyrus_twi)です。
タイトルの通り、日本メディカルAI学会の公認資格を取得するに至ったので、その記録と、今後医学生や医師の方が受験するにあたっての情報を残しておければと思います。

日本メディカルAI学会とは

そもそもこの学会の名前自体が初耳の方も多いかと思います。
日本メディカルAI学会(https://www.japan-medical-ai.org/)のHPには

日本メディカルAI学会は
学問の新しい流れに大胆且つ柔軟に取り組み
形式より実質を重んずる気風を特徴に、medical AIに関する研究・教育を推進し
我が国における現代医学の発展に寄与することを目的に活動しています。

https://www.japan-medical-ai.org/

とあります。
平たく言うと、『医療×AI』の領域に特化した学会というところでしょうか。
2018年に発足した新しめの学会です。

第2回(2020年)の学術集会

公認資格と取得の流れ

日本メディカルAI学会の公認資格は文部科学省後援の資格になっています。
英検とかと同じ立ち位置ですね。
以前は定期的に行われる筆記試験だったようですが、現在(2023年2月)はCOVID-19の影響もありCBT形式に変更されています。

https://cbt-medical-ai.kikagaku.co.jp/ より

株式会社キカガクと提携しており、キカガクが無料で提供する
【基礎編】脱ブラックボックスコース
【応用編】メディカルAI専門コース
の2コースを受講できます。
それぞれのコース内の各講義ごとにテストがついており、
このテスト全てで全問正解することが取得要件の大きな山になります。
(テスト自体は何度でも回答入力が可能で、その場で正解・不正解が表示されます。)
で、ここまでは誰でも無料で勉強できます。

これらの要件を全て満たした上で、

  • 日本メディカルAI学会の会員であること

  • 公認資格発行費用として¥11,000を支払うこと

で、公認資格取得となります。

最初から受講費用や受験料を支払わなくていい分良心的なシステムのように感じました。「資格自体はいらないけど内容だけ勉強したい」という人は無料で全て勉強できますし。

バックグラウンドと取得するまでに至った流れ

  • 医学部6年生(国試受験後の卒業待ち、4月から研修医)

  • Stanford University Code in Place 2020 修了

  • 日本ディープラーニング協会 G検定 2020#2 合格

  • 機械学習の実装は2〜3回やったことあるけどほぼ忘れた

キカガクの講座受講開始時の背景としてはこんな感じでした。
医学知識としては国試レベル程度、
AIの知識としてはCode in PlaceでPythonの基礎を一通り学び、
G検定でAIの基礎を一通り学んだという形です。

キカガクのマイページのダッシュボード

キカガクの講座は今回の2コース以外には受けていないため、この22日が資格取得にかけた日数になります。
1日1講義しか受講していない日もあれば、8時間くらいPCを触っていた日もあるのでなんとも言えませんが。

後述しますが本講座はGoogle Colabを利用します。
無料の範囲内で行うため、そこでGPUの使用制限に引っかかってしまった日が3日ほどありました。

かといって課金すると推奨環境から外れるジレンマ

なので実際にはもう数日縮められたと思いますが、1日待てば使えるようになったのでご愛嬌。

この記事の執筆時では、全てのテストで満点をとって、資格の取得申請をした段階です。なのでタイトルの「取得しました」は厳密に言うと間違いなのですが…許してください。

これから資格を取得しようとする方へ

日本メディカルAI学会の会員の時点でほとんどの方が医師、もしくは医療職の方だと思うので、それを前提に。

医学知識

資格取得にあたって、正直医学知識はほぼ必要ありません。
DNAの構造と、心臓の構造、赤血球や白血球など血球の種類がわかれば大丈夫です。

AIおよびプログラミング、数学・英語の知識

キカガクさんはIT教育の会社で、2コースともに講師はIT教育のプロです。
その道の方々からすると今回の資格に必要な内容はお遊び程度だと思うのですが、医療者からすると問題はこっちです。
以下、AIの話とプログラミングの話、数学・英語の話と切り分けてお話します。

【AI】
講義内でもAIについての知識の説明はもちろんありますが、事前にある程度は把握しておくと、「今何をやっているのか」をきちんと理解しながら進めた印象です。逆に知識がまっさらな状態で講義内の説明だけでは理解しきれない部分は出てくると思います。
その点で事前にG検定を取得しておいたのはとてもいい勉強になりました。
わざわざG検定を取得しなければいけない、というわけではないですが、AIについて体系的に広く学ぶいい教材にはなるように思います。

【プログラミング】
Pythonは一通り触れる必要があります。各種ライブラリの使い方は講義内の説明で十分ですが、基本的なPythonの文法や扱い方は自分で手を動かせる必要があります。講義は2コースともにGoogle Colab上で無料の範囲内で行うため、環境構築の必要はありません。
↑の文章が「何言ってるかわからん」な人は一旦踏みとどまりましょう。とりあえず講義の内容だけはコピペでなんとかはなりますが、テストがあるのでかならず壁にぶつかります。
詳しく見てはいませんが、以下のハーバード大学の教材は世界的に評判が良く、かつ無料です。有志の方が日本語訳字幕も付けてくれていますので英語がしんどい方もぜひ。

【数学・英語】
講座内の最初の方で、行列を扱います(AIを扱う以上避けて通れない)。
僕自身、大学受験の際に理系科目が新課程になった代でして、数C範囲の行列(線形代数)がなくなり、複素数平面に変わってしまいました。大学でも教養に数学がない大学だったため、行列に触れるのは初めてでした。
とはいえ講義内の説明と、理解しきれなかった部分はヨビノリでなんとかなったので、基本的にはそんなに心配いらないと思います。
他に出てくるのはΣ計算とかlogとかその程度です。

英語に関しては医学部受験を乗り越えた学生や医師の方々であれば全く問題ないと思います。というのも、プログラミングで行き詰まったときや公式の資料を確認するのはたいてい英語ですので、ある程度の英語力は必須になるわけですが、
論文同様、英語として難しい単語等は使わず、平易な英語での記述が多いです。

最後に

なかなかニッチな世界の領域を扱ってくださった日本メディカルAI学会さん、このような講座を提供してくださったキカガクさん、本当にありがとうございます。今後も医療×テクノロジーの領域で活躍できるような人材になれるべく、精進していきたいと思います。

そして、医療とAIの組み合わせに興味がある方は、ぜひこの公認資格にチャレンジしてみてください。


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