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閉じこもり期 in Wales

こんにちは。
Made in Walesのモノを集めたセレクトショップ「Cymry」です。

以前の下記記事の最後に書かせていただいたように、多くの人々が出入りして刺激的なPenpontでの楽しい生活の中でも、誰とも喋りたくなくなり、仕事が終われば部屋に閉じこもる時期がありました。

なぜかというと、おしゃべり文化大国の壁にぶち当たったから。

Walesというか英国全体の国民性なのだと思うのですが、本当にみんなおしゃべりが大好き。議論が大好き。天気の話題だけで30分はおしゃべりできてしまうコミュニケーションスキルの高い人々ばかり。このWalesの片田舎でもその国民性は変わらず、人と出会えば挨拶だけで終わることは少なく、何かしらおしゃべりをするのが礼儀のような空気感。

もうこれは、“口数少なく空気を読む”みたいなことが美徳とされていることが身に滲みてしまっている生粋の日本人にはなかなか馴染めないもので。その上に、まだまだ幼児レベルのような英語スキルしかない私にとって、それはそれは鉄壁の壁でした。

誰かと一対一で話す分には、相手も私のペースに合わせてくれることが多いのですが、いろんな人が集まるPenpontでは、ダイニングで5〜6人集まって夕飯前にお酒を片手におしゃべりすることが日常で。ネイティブたちの会話に入ることは容易ではありません。気を遣って、私に話を振ってくれることがあってもうまく返せなかったり、1〜2語の単語で終わってしまうことが多々。そんな会話ができなすぎる自分にガッカリして、この家に馴染めていないような気がして、仕事が終わってからダイニングに行くことが怖くなって部屋で過ごすことも多くなりました。

しかし、ホストのお父さんお母さんはそんな私を放置せずにいい距離感でサポートしてくれ、週末にイベントに連れ出してくれたり、留守番を頼みたいから家で好きに過ごしなさいと私をあえて1人にしてくれたり。その心遣いにもとても救われたし、そして何より私を助けてくれたのは「トレイルランニング」でした

ホストが、誰かに私を紹介してくれる際に必ず付け加えるのが、「彼女はフェルランナーなんだよ」ということ。(高い山のない英国では、Trail Runningではなく“Fell(丘)Running”ということが多かったので)なので紹介された方も、私=「フェルランニングが好きで走り回っている日本人」というイメージを持ってくれたことで、それが会話の種となって話しかけてくれたり、「私の町にもレースがあってね・・・」と情報をくれたり。「じゃあ一緒に走りたい!」と突然ランニングについてきてくれたこともありました。おそらく、ただの“日本人”というだけのアイデンティティでは、こんな展開もなかったのだと思います。

私 = どんな人なのか、何が好きなのか、なぜ此処にいるのか

そんなことを自分の中にやんわりとでも持っていたためか、次第に無理して話したくない時は会話に頑張って入らなくてもいいかと思えたり、自分の好きなことだけはちゃんと相手に伝えられる英語スキルは身につけておこうと改めて勉強してみたりと少しずつ前向きになり、閉め切られていた部屋のドアも私の心も次第に開けていくことができました。(それでも自分の英語のできなさには多々凹みましたが笑)そしてフィジカル的にも、辛い時こそWalesの丘を走ることで、心も助けられました。

30歳を過ぎて、まさか部屋に閉じこもり涙を流すとは思っていませんでしたが、そんな経験も悪くなかったなぁと今では振り返ることができています。これからも「私 = どんな人なのか、何が好きなのか、なぜ此処にいるのか」考えつつ、そしてアップデートしていけたらいいのかなぁと思っています。

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