『ザ・アウトロー』(2018) 実は別エンディングも用意されていた
核心や結末に関する記述あり
なによりもいけないのがオチだ。さんざん使い古されてきたオチなのだが、演出が下手なのが幸いして(?)、1回観ただけでは分かりにくく、スゴイどんでん返しを見せ付けられた気がするかもしれないが、気がするだけである。
白人のゴミ回収車ドライヴァーは、序盤のバーのシーンでは顔の認識は不可能。もう一人のゴミ回収車ドライヴァーである痩せたサモア人のほうは、序盤のバーのシーンでも意識して観れば認識可能だが、劇場で一回見ただけでは無理だろう。この二人と、巨漢のサモア人、実は黒幕だった黒人のバーテンダーの4人がサッカーのティーム・メイトだったということを、このバーがドイツ系がオーナーのドイツビールを出す店で、サッカーファンが集う場所ということから予想するのは無理というもの。ただ調べてみたら、白人のゴミ回収車ドライヴァーも、痩せたほうのゴミ回収車ドライヴァーも、最後のパブのシーンで出てくるイギリス人もプロの格闘家なようで、ファンなら気が付くのかもしれない。逆に言えば、格闘技ファンでないと何かあると気が付かないような伏線では、オフザケが過ぎていると怒る映画ファンもいるだろう。ほとんど映画の掟破り。あ、だからアウトローなのか(笑)?
原題はDen of Thieves、泥棒の巣窟といった意味か。thiefは泥棒で、銃を持って銀行に押し入るような強盗はbank robber、夜中に金庫破りをするのはburglarといった感じだろう。hereというだけなので、ロス・アンジェルス群なのか全米なのか分からないが、「48分に1回、銀行強盗が起きる」というのは、現金輸送車強盗なんかを含めても、そんな数には到底ならず、大ボラとのこと。
肝心のガン・アクションもたいしたことは無い。いちいち「ムーヴィング(移動する)」「マグ・チェインジ!(弾倉交換)」とか叫ぶのだが、敵に背中向けて後退してるし。必殺技名を叫ぶ日本のマンガのノリである。『13時間 ベンガジの秘密の兵士』のミリタリー・アドヴァイザー、ハリー・ハンフリーズとケヴィン・ケントはいい仕事してたんだなあと再認識。強盗団とシェリフ達が着ているボディ・アーマー(プレート・キャリア)も、薄っぺらでロスコ(安物で知られるレプリカ品メーカー)じゃないかと思って観ていたら.45 ACP(45口径の拳銃弾)が貫通してしまう。このあたりはアマゾンの『ジャック・ライアン』のほうがお金がかかってる。
ドニーが車から逃げられず、そのまま留置場に入れられて、もしかしてドニーが黒幕じゃないかとトニー気が付くところで終わる、別ヴァージョンのエンディングも用意されていたようだ。こちらのエンディングにして、パブのシーンはクレディットの後にオマケとして付け加えたら良かったかもしれない。
続編はデ・ビアスを襲う話?コメディー・タッチにすればあり。実は本作品はシリアスなクライム・アクションではなく、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』のようなパロディ映画だったのかもしれない。
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