見出し画像

『ホームカミング』(2018) 『MR.ROBOT / ミスター・ロボット』のサム・エスメイル演出プライム・オリジナル心理スリラー

 スリラーなのでストーリーについての説明は避けるが、演出/撮影にスリラー/サスペンス映画に使われる多様な技法を駆使し、スリラー映画の技術の集大成ともいえる作品になっている。撮影は、やはり『MR.ROBOT / ミスター・ロボット』のトッド・キャンベル。
過去と現在の2つのタイムラインが交互に並行して描かれていく。画面の幅は単にタイムラインの違いを表しているようにみえて、実は…。
本作品を観てわかったのは、サム・エスメイルって相当な映画オタクだなってこと。彼は影響を受けた監督してパクラ、キューブリック、ヒッチコックを挙げているようだが、むしろデ・パルマの影響が強いと思う。 また、オーソン・ウェルズとテリー・ギリアムの影響も感じられる。巨匠達の作風への単なるオマージュで終わらず、自分のものとして効果的に演出に活かしており、いずれスコセッシやデ・パルマと並び称される監督となるのではと思う。
1話30分前後×全10話。コメディではないドラマとしては珍しいが、これも演出上の計算のうえでのことだろう(原作にあたるポッドキャストは20分強×12回で、本作品のシーズン1は原作の第6回までにあたる)。
なお、最終話のエンドクレジットの後にも、ちょっとした続きがある。ガイスト・グループはドイツ語のgeist(精神、幽霊というような意味)から来ているのだろう。シーズン2の制作も決定している。
(エピソード5で20秒間ほど映像が無く音声も乱れるが、アマゾンには報告済み。担当部署で修正中とのこと。)

使われてる楽曲からも、エスメイルの好みや演出の意図を窺い知ることができるだろう。

エピソード1
『殺しのドレス』 監督:ブライアン・デ・パルマ 音楽:ピノ・ドナッジオ
『大統領の陰謀』 監督:アラン・J・パクラ 音楽:デヴィッド・シャイア
『マラソンマン』 監督:ジョン・シュレシンジャー 音楽:マイケル・スモール
『めまい』 監督:アルフレッド・ヒッチコック 音楽:バーナード・ハーマン

エピソード2
『コールガール』 監督:アラン・J・パクラ 音楽:マイケル・スモール
『激突!』 監督:スティーヴン・スピルバーグ 音楽:ビリー・ゴールデンバーグ
『ザ・ギフト』 監督:ジョエル・エドガートン 音楽:ダニー・ベンジー/ソーンダー・ジュリアーンズ

エピソード3
『カプリコン・1』 監督:ピーター・ハイアムズ 音楽:ジェリー・ゴールドスミス
『アンドロメダ…』 監督:ロバート・ワイズ 音楽:ギル・メレ
『ザ・カー』 監督:エリオット・シルヴァースタイン 音楽:レナード・ローゼンマン
『炎のランナー』 監督:ヒュー・ハドソン 音楽:ヴァンゲリス
『原子力潜水艦浮上せず』 監督: デヴィッド・グリーン 音楽:ジェリー・フィールディング
『密殺集団』 監督:ピーター・ハイアムズ 音楽:マイケル・スモール
『悪魔の棲む家』 監督:スチュアート・ローゼンバーグ 音楽:ラロ・シフリン

エピソード4
『悪魔の棲む家』 監督:スチュアート・ローゼンバーグ 音楽:ラロ・シフリン
『地球が静止する日』 監督:ロバート・ワイズ 音楽:バーナード・ハーマン
『キラーハンド』 監督:オリヴァー・ストーン 音楽:ジェームズ・ホーナー
『キャリー』 監督:ブライアン・デ・パルマ 音楽:ピノ・ドナッジオ
『アンドロメダ…』 監督:ロバート・ワイズ 音楽:ギル・メレ
『大統領の陰謀』 監督:アラン・J・パクラ 音楽:デヴィッド・シャイア
『動物の黙示録』 監督:フレデリック・ロシフ 音楽:ヴァンゲリス

エピソード5
『ボディ・ダブル』 監督:ブライアン・デ・パルマ 音楽:ピノ・ドナッジオ
『サブウェイ・パニック』 監督: ジョセフ・サージェント 音楽: デヴィッド・シャイア
『カンバセーション…盗聴…』 監督:フランシス・フォード・コッポラ 音楽:デイヴィッド・シャイア
『ニューヨーク1997』 監督 :ジョン・カーペンター 音楽:ジョン・カーペンター/アラン・ハワース
『遊星からの物体X』 監督 :ジョン・カーペンター 音楽: エンニオ・モリコーネ
『カナディアン・エクスプレス』 監督:ピーター・ハイアムズ音楽 ブルース・ブロートン
『フレンチ・コネクション』 監督:ウィリアム・フリードキン 音楽:ドン・エリス

エピソード6
『ハイ・ライズ』 監督:ベン・ウィートリー 音楽:クリント・マンセル
『スキャナーズ』 監督:デヴィッド・クローネンバーグ 音楽 ハワード・ショア
『コピーキャット』 監督:ジョン・アミエル 音楽:クリストファー・ヤング
『クリエーション』 監督:ジョン・アミエル 音楽:クリストファー・ヤング
『コンドル』 監督:シドニー・ポラック 音楽: デイヴ・グルーシン

エピソード7
『原子力潜水艦浮上せず』 監督: デヴィッド・グリーン 音楽:ジェリー・フィールディング
『遊星からの物体X』 監督 :ジョン・カーペンター 音楽: エンニオ・モリコーネ
『アンドロメダ…』 監督:ロバート・ワイズ 音楽:ギル・メレ
『クリスティーン』 監督:ジョン・カーペンター 音楽:ジョン・カーペンター/アラン・ハワース
『パララックス・ビュー』 監督:アラン・J・パクラ 音楽:マイケル・スモール
『ザ・フォッグ』 監督:ジョン・カーペンター 音楽:ジョン・カーペンター
『ハロウィンIII』 監督:トミー・リー・ウォーレス 音楽:ジョン・カーペンター/アラン・ハワース

ピソード8
『カンバセーション…盗聴…』 監督:フランシス・フォード・コッポラ 音楽:デイヴィッド・シャイア
『クリスティーン』 監督:ジョン・カーペンター 音楽:ジョン・カーペンター/アラン・ハワース
『ハロウィンIII』 監督:トミー・リー・ウォーレス 音楽:ジョン・カーペンター/アラン・ハワース
『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』 監督:ケン・ラッセル 音楽:ジョン・コリリアーノ
『アンドロメダ…』 監督:ロバート・ワイズ 音楽:ギル・メレ
『ザ・フォッグ』 監督:ジョン・カーペンター 音楽:ジョン・カーペンター

エピソード9
『白いドレスの女』 監督: ローレンス・カスダン 音楽:ジョン・バリー
『レイジング・ケイン』 監督:ブライアン・デ・パルマ 音楽:ピノ・ドナッジオ
『レジェンド / 光と闇の伝説』 監督:リドリー・スコット 音楽: タンジェリン・ドリーム
『オブリビオン』 監督:ジョセフ・コシンスキー 音楽:アンソニー・ゴンザレス/ジョゼフ・トラパニーズ
『大統領の陰謀』 監督:アラン・J・パクラ 音楽:デヴィッド・シャイア
『アイガー・サンクション』 監督:クリント・イーストウッド 音楽:ジョン・ウィリアムズ

エピソード10
『デッドゾーン』 監督:デヴィッド・クローネンバーグ 音楽 :マイケル・ケイメン
『アンドロメダ…』 監督:ロバート・ワイズ 音楽:ギル・メレ

ちなみに、エピソード5のランコムの美容部員役はケイトリン・レイフィ。役名はKateということ(笑)。 ジュリア・ロバーツは10年近くランコムの広告塔を務めている。


★★★★★

2019年2月22日に日本でレビュー済み

75人のお客様がこれが役に立ったと考えています

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?