『残酷で異常』  逆『素晴らしき哉、人生!』

〈物語の核心と結末に関する記述あり〉

ループもののSFというのは映画の人気のジャンルの一つ。日本人にもウケるテーマである。

さて本作品の監督と演出は、TVシリーズの『スーパーナチュラル』と『アンドロメダ・ストレイン』のセット・デコレイターやセット・デコレイター助手をしていた人。キャストもアメリカのTVドラマの端役でちょくちょく見かけるような人たちばかりだ。同じカナダ映画でループものの佳作『トランスポート』ほどチープではなかった。

途中でカフカの『審判』のような不条理劇かとも思ったが、そうでもなかった。

ディケンズの『クリスマス・キャロル』は、自分の過去や未来を客観的に見せつけられる話だから、おそらく本作品のベースであろう。結末は明らかに『素晴らしき哉、人生!』の逆ヴァージョン。立場が入れ替わるのは『スウィッチ/素敵な彼女?』(1991)と、その元ネタ"Goodbye Charlie"の影響も感じられる。ミラーに映る自分の姿が別人になっている演出は、ドナルド・P・ベリサリオ製作の 『タイムマシーンにお願い 』のオマージュだろう。

『ドニー・ダーコ』の主人公は、ガールフレンドが殺されない世界に戻すために自らは事故で死ぬことを選ぶ。最後の晴れやかな表情は好が分かれると思うが、これも『ドニー・ダーコ』の影響だろう。






『クリスマス・キャロル』

『スウィッチ/素敵な彼女?』




『トランスポート』




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