木村和平「あたらしい窓」を開催中です

木村和平

日々の生活のなかでふと遭遇した状況に反応して、写真を撮る。木村和平が写し取った風景を見ていると、時折自分自身のアルバムをめくっている時のような懐かしさを覚えます。見知らぬワンシーンのはずなのに、遠い記憶が再生され、そこに手が届かないもどかしさも感じます。



…と、ここで急に自分の話になってしまうのですが、私は「あっ」と思ったシーンや物を自分で撮っても、その時感じた「あっ」が全然写真に写らず、CygのSNS投稿用写真でもなかなか作品や会場の素敵さが伝えられないことに、悶々としています。



木村和平の作品を見ているとその「あっ」の感覚が私の見知らぬワンシーンに存在した緊張感や穏やかな空気、温度感。自分もその時その場にいましたよ、そうでしたね、こんな雰囲気でしたよねと錯覚してしまうくらい鮮明に。

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今回、Cygでの展示では、極端にサイズ感の異なる作品たちが並んでいます。
前に立つと圧倒されるような787×1180mmの作品が2点と、手のひらに収まりそうな75×112mmほどの作品が11点。


小さな写真たちは大胆に余白をとった額装が施されています。
その小さな四角の中に何が映し出されているのかを見るためにぐっと近づかなければならず、写真集を見ているときより距離が縮まっている気もするのですが、もちろん写真なので映し出された風景には手が届かない。近づくことでその遠さに気づきます。

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続けて、大きなサイズの作品を見ると、今度は写ったものたちがこちらに向けて迫ってくるようで、はっとして、少し後ろに下がって作品を眺める。そしてまた隣の小さな四角にぐっと近づく。
作品のサイズ感や並びに操られるようにしながら会場を一回りしてみると、見知らぬ景色の合間に自分自身の記憶の中の景色も見え隠れしていたような気がします。   

スタッフF                               

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Cyg art gallery での木村和平展覧会「あたらしい窓」は4/4(日)まで。
4/1(木)からは川向こうのBOOKNERDでも木村和平展覧会「The Other Side of the Window」(4/1-4/10)を開催します。そちらでは写真集「あたらしい窓」には収録されていない写真が登場します!

4/1-4/4の4日間は2つの展覧会を巡ることもできますので、ぜひ合わせてお楽しみください。

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