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幼少期にスポーツする子どもをもつ親への支援の必要性

6歳の息子がサッカーやりたいと言い始めていますが、現代の少年スポーツ界隈がどんな状況かよく分かっていません。なので、最近、暇を見つけてちょこちょこと調べているんですが、その過程で思ったことを書いてみたいと思います。

最初に、結論じみたことを書いてしまいます。

子どもに対するスポーツの指導法などは昔に比べると大きく改善されつつあるけど、その子どもを支える親の課題って放置され続けてるよね。

中学生や高校生になれば、ある程度放っておいてもいい、むしろ子どもの方から離れていくのだろうけど、幼稚園、小学校の年代って指導の方法や内容と同じくらいに、保護者と子どもとの関わりや保護者のポジティブな支援というのが重要なのではないかと思っています。

しかしながら、スポーツをする子供を支える親の負担に関する課題は、昔と変わらず依然として残存しているという実態とネットなどで偏った側面を強調するような情報が氾濫していることから、子どもにスポーツ活動をさせる入り口のハードルが以前よりも高くなっているような印象を受けています。

家族構成や地域との関わり、社会情勢の変化なども密接に関係するのでしょうが、こうした課題は放っておいたら減少するものではなく、むしろ増加する類の課題だと思います。

まさにこれから子どもがスポーツを始めようとしているわけですから、いずれ私もこの課題にブチ当たります。なので、自分事として課題の背景や実態を知っておきたいというのが、今回のモチベーションです。

どうでもいいけど、自分の少年時代のスポ少は?

30年以上前、私のいた昔のスポーツ少年団は、どこから来たのか分からん世話好きなオッサン、やたらと情熱的なオッサンなどが監督やコーチしていて、無慈悲なシゴキを与えつつ、言葉の折檻と独自の理論と得体のしれない精神論を展開していました(笑)漫画タッチの世界そのまんまです。鬼監督…。

鬼監督 柏葉英二郎@タッチ,あだち充

その周りには、熱心な親さんが何人かいて、監督やコーチとその人達が中心に一生懸命に運営してくれていました。必ずしも全員の親が・・・みたいなことはなく、できる範囲で〜という互助の雰囲気が強かった気がします。

当然、今と同じように一部の親だけ負担が高くなったり、口だけ挟んでくる面倒な親がいたり、毒づいたりする親もいましたが、それが原因で崩壊するようなことは不思議とありませんでした。

まぁ、この頃ってまだ週休2日でもなく、土曜日にも仕事や学校があったり、長時間労働なんて当然の時代で、親としては子どもの相手してくれてるだけでも有り難いみたいな雰囲気があったのかもしれません。The 昭和世代です。

自分の少年時代を振り返ると、こんな感じです。

今はどんなことが問題視されているの?

最近のスポ少などの記事やレポートを見てみると、保護者の問題意識は以下のようなものが挙がっています。

・サポートの役割が母親に偏っている
・チームの係や当番の負荷が高い
・親の温度差によるトラブル
・ボスママや身内への陰口
・関係性を拗らせると、PTAや地域での関係性まで影響
・土日も練習や試合でプライベートがなくなる
・遠征の負担(配車や弁当など)

あれ?これ最近の問題?そう、昔からあった問題ばかりです。私がいたスポ少でもトラブっていた人たちの顔が思い浮かぶくらいはっきりと覚えています。子ども心から見てもかなりひどかったです。

ありゃま、昔と何ら変わっていません。むしろ、SNSでの誹謗中傷など手口がややこしくなっていたり、マウントする人を制御する人がいなくなってザワザワ感が強くなっている印象を受けます。

このような情報がネット上に氾濫すると、そんなトラブルジャングルな場所に子どもを放り込みたくないし、親も凹みたくないと思いますよね。

自分の地域のチームの状況がどうであれ、事前知識として入ってきてしまうと、かなり悩みますし意を決して入っていったとしても、先入観でかなり構えてお付き合いが始まることになります。そして、こうした一歩引いた態度が、今度は引き金になるという悪循環。

私の妻はスポーツしたことないので、まさにこのネットのザワザワな情報にビビって子どもにスポーツさせることに超消極的です。もうかなりの偏見。

保護者のマイナスイメージが先行してしまい保護者がそれを回避しようと行動することで、子どもの機会を逸してしまう。

ここが一番気になります。レポートでは、特に子どもが低学年の時にその傾向が強く出ているようです。まだ他にも手がかかる時期、まだうちの子には早いなどあるのかもしれません。しかし、子どもの発達段階では、とても重要な時期なんです…。

低学年では大人側の理由で子供にスポーツをさせない割合が多い
2017,小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する 調査研究,笹川スポーツ財団

ただし、保護者の意識や思考の問題というだけでなく、保護者の負担感は家庭の経済状況や保護者の生活の事情なども影響していることが調査から考察できます。

経済的な余裕がない程、負担感が強くなる
2017,小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する 調査研究,笹川スポーツ財団

まとめると、保護者側の理由で幼少期に子どもがスポーツ活動の機会を逸してしまうパターンは2つあることがわかります。

①ザワザワな情報に尻込みして、親が集団に飛び込めない
②経済的な余裕がなく、負担感を強く感じてしまう

スポーツする子の親のやりがいってなに?

ここまで子どもにスポーツさせるのって親として結構ハードル高いよね的な少しネガティブな要素を書きました。一方で、子どもにスポーツをさせている親が、子どもへのサポートをやりがいに感じていることもお伝えする必要があります。

2017,小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する 調査研究,笹川スポーツ財団

親がやりがいに感じている上位の項目をピックアップしてみます。
 ・81.5%  自主練に付き合う
 ・80.9%  ルールの学習
 ・80.8%  試合の帯同や応援
 ・77.1%   練習の付添や見学

これらは全部、親も一緒に活動に参画しているものばかりですね。かつ、その殆どは子どもにスポーツをさせることを留まった親が負担だと感じている内容です。

おそらく、親子で行動を共にしコミュニケーションを取る中で、目標が共有され、子どもの成長や子どもへの愛情を実感する過程で、負担がやりがいへと変わっていくのだろうと思います。

自分の経験上では、上手かった友達の親の特徴は、
 ・ポジティブ
 ・アクティブ
 ・どっぷりハマらない(≒適度な距離感)
という印象です。細かいことは口にせず、ムードメイクだけしてくれるような、まさに一緒にやることにやりがいを感じているような印象があります。

短期的な負担からの回避策

一方で同時に、時間的、経済的、肉体的、精神的な負担も必ずあるので、その負担に耐えられなくなり苦悩する保護者の話もネット上でよく話題になっています。そして、その超短期的な回避策はネットを探せばゴロゴロでてきます。

ただし、そのほとんどは回避策であって解決策ではありません。根本的な問題は残ったままです。だから、30年以上も前に私が体験してきた問題が今も尚、挙がっているのでしょう。

とは言え、スポ少では当番制の廃止などが少しずつ始まっているようです。また、民間のスクールに通って運営の負担を減らすなどの選択肢も増えてきているようです。しかし、スクールに通うと費用が高くなったり、送迎の負担が増えたりするなど新たな課題も生じてきます。

まとめ

スポーツ活動をする子どもの親の負荷が高いという課題は、昔から変わらず残っていて、子どもがスポーツ活動に取り組む際に生じる親のハードルとなっています。そのハードルは2つあり、1つ目は始める前のハードル。親の負担が増えるというネガティブなハードルを乗り越えて、飛び込むことができるかどうか。2つ目のハードルは、噂には聞いていた負担が現実のものとしてのし掛かってくるハードル。ここで子どもと伴走し、負担をやりがいとして変化させることができるかどうか。

2つ目のハードルを低くすると、1つ目のハードルも低くなるので、いかにして子どもをサポートする親の負担を減らしていくかが鍵となります。負担を減らした上で、親子で伴走できる余裕をどのようにして作り出していくかということが重要になってきます。

ここでの余裕というのは、端的には時間とお金になるでしょう。これからはボランティア前提の運営にはきっと限界がやってきます。幾分のコストをかけることで負担を解消できるのであれば、積極的に活用することも念頭に入れる必要があります。そのコストを行政が補助するのであれば、その役務の対価を地域内に還元できる仕組みを作ったりする必要も出てきます。

例えば、地域の大学生など若者を運営補助のアルバイトで雇用し、コーチングのOJTをしながら、地域の指導者を育成していくなど。

子どもたちへの指導法の改善などはよく取り上げられますが、保護者の苦悩は放置されているものが多いことが分かりました。特に幼少期は、親子で伴走しながら楽しむことが重要であるため、保護者の苦悩を少しでも取り除き伴走できる余裕を作っていくことが、今後子どもたちがスポーツ活動に接する機会を増やすためにも極めて重要であると感じています。


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