【哲学】科学とは何か
そもそも科学とは何なのか。これは科学哲学における重要な問いの一つである。
色々観点はあるが、反証主義の代表たる20世紀の科学哲学者Popperによれば、ある対象が科学である条件は「反証可能性」を有するかどうか、なのだという。
この反証可能性とは、「真偽を検証可能であるかどうか」というものであり、偽である可能性を一切認めない言説や、検証可能でないような記述、説明は反証可能とは呼ばず、非科学に分類されるのである。
もう少し平易に言えば、反証主義の立場によると、科学とは間違いである可能性を受け入れ、さらに間違っているかどうかを検証する余地があるものなのである。そして、間違っていることが判明すればその都度、正しい方向に改善され、発展していくわけである。
他方、絶対的な教義や確かめようのない宗教的なドグマなどは非科学にあたり、他にも、予言が外れた時に言い訳をするようなアドホック仮説も非科学とされる。
身近な例で言えば、例えば野球の解説を聞いていると、「去年よりも球速が上がった」のように反証可能性のある話をよくする解説者もいれば、「気持ちの入ったピッチングで抑えた」のように反証可能性の無い話ばかりする解説者もいるだろう。
あと、あんまり言うと怒られそうだが、特に人文科学系の分野では、学生を前にして反証可能性の無い非科学的なことを語り出す大学教員は結構いる。筆者自身、文系教養科目の講義で、本当にこれは科学なのか、と困惑したことが多々あった。そういう講義をする教員は、科学者としての矜持がないか、反証主義者ではないかのいずれかであろう。
日頃から、この人は科学的な主張をしているのかどうか、といった視点で見ると案外面白い。
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