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大企業を飛び出してスタートアップの世界へやってきたデータサイエンティストを紹介します!(前編)

岡田裕斗。
愛知県名古屋市出身。奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科に在学時、国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所にて学外実習生として、ヒト脳情報の解析方法に関する研究開発に従事。
新卒で電機メーカーに入社し、生体情報を扱った健康管理サービスに関するソフトウェアの研究開発を担当。CyberneXの掲げるVisionに共感し、2022年1月より、データサイエンティストとして参画。
CyberneXのデータサイエンティストということで、今日は岡田さんがこれまでどのような道を歩んできて、なぜCyberneXで働くことになったのか、そして現在何をしているのかまで、聞いていきたいと思っています!本日はよろしくお願いします。

<なぜCyberneXに至ったかを紐解いていきます>

岡田さんは脳神経科学にお詳しいですよね。社内のSlackでも脳波界隈の面白い記事を提供してくれたりしてます。もともと興味があったのですか?

はい。振り返ってみると中学高校時代の影響があったと思っています。

中学受験をして中高一貫の大学附属の学校に入学しました。これが面白い学校で、入試問題では「都道府県をダジャレを使って表現せよ」があったり、1年間のフィールドワークを通した総合学習の教科が毎年ありました。
この教科で何をするかというと、自分でテーマを決めて、大学の教授、その道の専門家に対してアポイントメントをとって、インタビューし、報告書にまとめて、発表するというものです。


ヒトの脳や知能に興味を持った最初のキッカケは、中学1年の時に行った愛知万博です。自分で考えて判断するというロボットの紹介がされていました。もう少しすれば、ドラえもんのようなロボットなんかも実現するかもとワクワクしましたね。それをきっかけに、上記のフィールドワークを活用して大学でロボット(人工知能:AI)の研究をしている先生を訪ねて話を聞いたりした好奇心が今までの半生に影響を与えた気がします。


高1のときは大学で心理学の研究をしている先生のところにフィールドワークに行きました。この頃は心理学に興味があったんですよ。ただ心理学の多くは文系の学科なんですが、私は文系教科が苦手で、理系教科の方が得意ってことが分かってきたんです。そこで、中1のロボットの話もそうですが、理系教科の情報科学でも心理学に近い領域を扱えることを知って、ヒトの知能を作ることでヒトの心への理解を深めていく道もあるんだと思うようになりました。


高3のときは、大学でバーチャルリアリティ(VR)の研究をしている先生のところへ行きました。この頃は五感に興味があったからです。でも当時はVRって言っても一般向けではゴーグルタイプのヘッドマウントディスプレイが世の中に出始めたぐらいで、「今のVRはまだこんなものなんだ」と感じました。期待値が高かったんですかね。

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人の五感を使った研究やVRに対してどんな期待を抱いていたんですか?

映画のマトリックスのイメージですね。現実世界に近い仮想空間で色々できるというのを期待してしまいました。
SF小説の世界観とはギャップがあって、脳に興味を移していきました。
今思い返してみると、心理学は人間のインタラクションで、五感をヒトと外界を繋ぐインタフェースとしてみると、自分の興味には一貫性がある気がしています。その根底にあるのは、「自分を理解したい!」という欲求で、だから心理や認知への好奇心が沸くんだ!って自分なりに解釈しています。
他にもマンガやアニメ等のSFから影響を受けている部分が多くあります。例えば、シャーマンキングというマンガ・アニメです。ざっくり言うと幽霊と人間が一緒に戦うストーリーです。

幽霊が普通に出てくるので、肉体的な死が精神的な死に直結しないんです。さらに途中から蘇生術が使えるようになるんです。そうすると肉体的な死の意味がさらに薄くなって、話の終盤では精神的な強さが重要視されるようになってきます。健康という面においても肉体的というのに加えて精神的・社会的に良好かどうかというのも重要です。精神的な不調の診断や治療は身体的なものに比べて、まだ発展途上という印象があります。これが肉体という物質的なものよりも心理とか精神的な部分(魂みたいな概念)に興味を引かれるようになった原点だと思います。


「ヒトの心に興味がある」というのを起点にして、自分のやりたいこと(will)、できること(can)、求められていること(must)の重なっている部分を探した結果として、「脳の研究をやってみたい!」という結論に行き着いたんだと思います。

大学は志望通り情報系の学科に入って、プログラミングなどについて学びました。


3年のときに卒業研究の研究室配属があり、研究のテーマの一つで脳波を扱っている研究室を第一希望に選んだんですが落ちてしまいました。第二希望は過去に脳情報を扱ったことがある研究室を選びました。そこには無事に配属されることになったのですが、配属後に、既に脳情報の研究はやっていないと分かって落胆しましたね。だから大学院では他大学を選択肢として考えるようになりました。


卒業研究では五感情報を扱ったVRに関する研究テーマをもらいました。具体的には、ペン型の触覚デバイスを扱ったVRアプリケーションの評価方法を検討するというものです。VRの良し悪しを評価するって難しいんですよ。例えば、臨場感という指標をアンケートを使って主観評価するんですけれども、曖昧かつ複雑な指標のため多次元的なアンケートを取って解析するというアプローチをしていました。関連研究にはVRを脳情報から評価したものもあり、研究テーマ選びで私の興味があることに配慮してくれた先生には感謝しています。


あと大学院で脳の研究をやってみたいと思うようになったキッカケとして以下の2冊の書籍を読んだことも挙げられます。
「脳の情報を読み解く BMIが開く未来」 (川人光男著)
「進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 」 (池谷 裕二著)

著者の方は外部の大学院または研究所に所属されていました。この方々と一緒に研究してみたいという気持ちが強くなっていきました。
本命はATR(国際電気通信基礎技術研究所)でした。

ATRとは脳情報研究も行っている民間会社で、学外実習生を募っていたり、学生向けセミナーの開催も行っています。しかも、先ほど紹介した著者である川人光男さんが在籍していました。その他にも、レム睡眠のときの夢の内容を脳活動のパターン信号から解読(デコーディング)するといった面白い研究をされている神谷之康さんもいらっしゃいました。


ATRが学外実習生を募集していて、距離的に近いところで大学院を探してみたところ、奈良先端科学技術大学院大学に連携している研究室や先生がいらっしゃることを知り進学しました。

大学院時代の研究では、ヒトの脳活動を非侵襲に低コストかつ簡易的に測定できないかの基礎研究をしていました。具体的には、fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging: 機能的磁気共鳴画像法)、NIRS(Near Infrared Spectroscopy: 近赤外分光法)のデータ解析です。単一の手法だけでは計測できない脳活動を、二つの装置の情報を統合することで互いの欠点を補い合って良いとこ取りをした推定ができるんじゃないかといった仮説を基に研究していました。


この頃からデータサイエンティストとして経験を積んでいきました。
就職活動はかなり苦戦して迷走していました。大企業やスタートアップの研究開発職が中心でしたが、一時期は公務員や大学職員など結構手当たり次第に受けまくっていました。
最終的には、縁があって大手電機メーカーへ就職できました。

CyberneXに至るまでの布石が中学時代からあったんですね。それが高校、大学、大学院へと繋がってストーリーになっていて、大変興味深い話が聞けました。
大手電機メーカーではどんなお仕事をされていたのでしょうか?

初めの約2年半は「動物向けのバイタル計測サービス」開発をしていました。具体的にはBtoB向けのサービスでペットの心電から健康管理ができるものです。私はデータビューワアプリのフロントエンド側の開発をやったり、信号処理やデータの解析もやったり、ソフトウェア開発を手広く担当していました。このサービスのクラウド周りの仕事で一時、広島に駐在したりと、フルスタックエンジニアの様に働いていました。
その後は、非接触(カメラ画像)で人のバイタル情報(心拍や血圧など)を計測するシステムの開発に携わりました。データ収集の実験をやったり、Pythonを使って画像解析やC言語でバイタル値に変換するアルゴリズムの実装などをやっていました。

前職で様々な経験をされて、とても順風満帆のように感じるのですが、自ら辞めたんですよね?

実は段々と大きな組織の嫌な部分が眼につくようになってしまいました。研究開発なのに1年以内に売上を立てるように求められ始めてきて、そんな短期間でできる研究開発にどれだけの価値があるだろうか?と言った葛藤もありました。そうして徐々に数年後の自分を想像できなくなっていきました。
いつかは出たいと思うように、、、
ある年の秋、別の開発グループへの異動を言い渡されたんですが、自分の専門領域とは離れた職務内容になりそうで、どうにも人数合わせの異動のように感じて、なんか一気に冷めてしまったんですよね。そんな感じで転職を決意しました。
大企業における計3年9か月に自らピリオドを打ちました。

後編では、岡田のCyberneX入社からの話を聞いていきます!
お楽しみに!


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