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日記ふうエッセイ【ひび】

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2023年9月の記事一覧

【日々】みんな天才だよ|二〇二三年九月

二〇二三年九月十九日  ちゃんと朝と呼べる時間にベッドを降りる。残りもののカレーとバナナ、ミルク。コーヒーをいれて、本の編集作業。慣れないInDesignを見様見真似。こういう時つい完成を焦ってしまって、丁寧に学びながら進むことができなくて後で苦労するのだけど、今回もそうなりそう。部屋の中はクーラーがきいていて気持ちがいい涼やかさ。  灼熱の中を泳いで一週間ぶりにオフィスへ赴く。最寄駅を出てから到着するまで、胸のあたりが暗い不快感でどんどん重たくなっていって挫けそうになる

【日々】大地から宇宙へ、旅から日常へ|二〇二三年九月

二〇二三年九月九日  うしろ姿のキュートな女の子が歩いている。眺めつつ歩いていると、うしろから勇猛そうな、でも声変わりのしていない芯の細い声が飛んできて、ユニホーム姿の野球少年たちが自転車で次々わたしを追い越してゆく。精悍に焼けた肌と線の細いからだ。そのかれらのほとんどが、前をゆく女の子の顔を追い越しざまに振り向いて確認していったのをみて笑ってしまった。わかるよ。つい見ちゃうよね。駅へ急ぐわたしの脚もすぐに女の子との距離を縮めてゆく。右手から大きく弧を描くように追い抜いてゆ

【日々】空気が変わった|二〇二三年九月

二〇二三年九月一日  陽射しは変わらず熱い。噴き出す汗。なのに、びゅうっと吹き抜けてゆく風がひんやりしている。からりと気持ちがいい。  電話をするというただそのことだけに苛々して、終わってみれば別になんということもなくて。わたしはわたしをトゲトゲさせたり疲れさせたり大事にしてくれなかったりする人が嫌いで、でもその怒りのせいでさらに世界を狭めている可能性が怖かったりして。不貞腐れてわざと引っ込めていた力がやむを得ない忙しさによってあっさり引っ張り出されてきちゃって。わたしは

【日々】ハイウェイ・チャンス|二〇二三年八月

二〇二三年八月二十二日  最寄駅を出て、近くのスーパーで金麦を買ってすぐに歩きながら飲み干す。こんなことをしたのはたぶん生まれて初めてだと思う。別に何にもラクにはならないし、おもしろくもなかった。わたしはどこにいても、うまくやっていくことができないんだなとおもう。こんなに、人と関わること、一緒にいることが苦しい場所にいたことは、すくなくとも社会に出てからは一度もなかった。きょうなにがあったとかそういうことではなくて、実はもうずっと、無理になっていたんだと思う。気づいたのが今