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Chatworkでのミッション・ビジョン・バリューの考え方

現在Chatworkでは、シェア拡大の最重要フェーズということで採用ペースを加速させており、直近では毎月10人ほどの新入社員の方を迎えています。

入社いただいた方にはCEOの私から、会社の歴史とミッション・ビジョン・バリュー(MVV)についてのプレゼンテーションを、その月のうちに行うようにしています。

会社の創業から今に至るまでの道のりと、そしてアイデンティティとなるMVVをその背景や想いも含めてCEOから直接聞くことが、業務オリエンテーションだけでは難しい、会社カルチャーへのオンボーディングプロセス(同じ船に乗る)に重要だと思うからです。

今回は、Chatworkの新入社員の方向けに私がいつも実際に話している、MVVプレゼンテーションの内容を記事にしてみたいと思います。

内容的にChatworkへと寄せたコンテンツとなっていますが、職歴や価値観も多様な方がたくさん入ってくるなかで、MVVの定義やその読み解き方、考え方などを整理してお伝えしているので、1つの具体例として自社のMVV作成や社内浸透などの参考にしていただければ嬉しいです。(Chatworkへの入社を考えている方にも、見てもらえると嬉しいなと思って書いています・・!)

ミッション・ビジョン・バリューの定義

ミッション・ビジョン・バリューは会社のアイデンティティを表す言葉で、他にもスローガン、スピリット、経営理念、社是、パーパスなど多様な種類があり、その言葉それぞれの定義もまた会社によって違っていることもあります。

Chatworkでは、ミッション・ビジョン・バリューを以下のように定義しています。

MVVの関係性

ミッションは日本語にすると「使命」という言葉になり、そもそもの会社としての存在意義を表す最も重要な文章です。会社としての「Why」を意味し、なぜ会社をつくったのか、何のために会社があるのかを表します。

ビジョンは視覚的な映像を意味しあるべき「将来像」として、会社が超長期の未来において実現したい世界観を表す文章です。会社としての「What」を意味し、どんな社会を創りたいのか、またはどんな存在になりたいのかを表します。

バリューは価値という意味で、会社が大切にする「価値観」を表した文章となります。会社としての「How」を意味し、ビジョン実現に向け、どのような価値観を重視しながら歩んでいきたいかを表しています。

Chatworkのミッション

Chatworkでは

働くをもっと楽しく、創造的に

という言葉をミッションに定めています。

いま、この記事を読んでいる時間もそうかもしれませんが、働くという時間は20代から60代、もしくは10代から働いてる人もいるでしょうし、定年が伸びて70代、80代も働くという時間になるかもしれません。

そんな人生の大半を過ごすことになる「働く」という時間を、ただお金のためだけ、もちろんそれもとても大切なことですが、生活の糧を得るためだけではなく、1人でも多くの人がより楽しく、自由な創造性を存分に発揮できる社会を実現したいと思っています。

そんな社会が実現できれば、より新しいアイデアやクリエイティブが生まれて社会が豊かになることはもちろん、その働く人それぞれにとっても、より充実した幸せな人生を送れるのではないかと思っています。

そんな働き方をする人を、1人でも多く増やす。

それが、Chatworkという会社の存在意義です。

Chatworkという会社名でChatworkというサービスを展開していますが、ビジネスチャットのChatworkは、ただの手段にしかすぎません。

「働くをもっと楽しく、創造的に」なっている人を増やすために、「働き方」に最も効率よくアプローチできる手段が「ビジネスチャット」だから、Chatworkという事業を展開しているのです。

ビジネスチャットが入ってない会社に、Chatworkが入ると本当に劇的に働き方が変わります。無駄な会議が減り、差し込みの電話がなくなり、言った言わないが起きなくなる、風通しのよいフラットな社風が生まれます。

そんなビジネスチャットを、まずはビジネスコミュニケーションのスタンダードにする。それが当たり前になったその次には、よりミッションを実現できるような新サービスをどんどんとChatworkのプラットフォーム上に展開していきたいと考えています。

次に、ミッションの読み解き方を、説明したいと思います。

ミッションや経営理念というと、耳障りのいい言葉を額に飾って、なんとなく意識するものとイメージしている人がいるかもしれません。

ミッションとはそんなふわっとしたものではなく、ダイレクトに事業や意思決定の内容に関わってくるものです。

どうミッションを読み解くかというと、ミッションの文章それぞれを分解して解釈を進めていきます。

ミッションが表すこと

まず、「働くを」と言っていますが、これは「ビジネス領域を、働くことを、働き方を」などを意味しています。

もしあなたがChatworkの事業企画担当だっとしましょう。儲かりそうだから、トレンドが来てるからといって、「ソーシャルゲーム事業やりたいです!」「仮想通貨事業やりたいです!」といって企画したとしても、まず通ることはありません。

なぜなら、それは「働くを」の領域ではない(遠い)からです。

ミッションとは、事業ドメインを規定する言葉です。ミッションに定めたことしかやれないし、ミッションに定めていないことはできなくなる、非常に強い制約となります。

Chatworkという会社は、「働くを」という領域に対し、「もっと楽しく」「創造的に」という価値提供につながる事業しかできないのです。

なんでもアリで事業をたくさん展開する会社は、ミッションの抽象度が高かったり、ミッションそのものを定義しないことが多いです。

ミッションを具体的にすればするほど事業領域は狭くなりますが、しかし、そこにすべての経営リソースが集中され、そのミッションに共感する仲間が集まるため、非常に強い力にもなっていきます。(某ハンター漫画の制約と誓約ですね 笑)

Chatworkは「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションに共感した仲間が集まり、その領域へ集中して事業を展開する会社だと認識してもらえればと思います。

Chatworkのビジョン

Chatworkのビジョンは

すべての人に、一歩先の働き方を

という言葉になっています。

一部の、ITに詳しい先進的な人だけではなく、世界中で働くあらゆる人が、自分自身の働き方を常に「一歩先」へと進めていけるプラットフォームの提供を目指しています。

ミッションと同じように分解していくと、

ビジョンが表すこと

まず、「すべての人に」と言っています。

ここで、Chatworkの戦略について聞いたことがある方は「あれ、Chatworkって中小企業メインじゃないの?」と思うかもしれません。

それも間違いではなく、中期経営計画で掲げている「中小企業No.1ビジネスチャット」というのは中期ビジョンとなっており、これから登るべき1つ目の山です。

中小企業No.1ビジネスチャットとなったその次には、大企業に行くかもしれないし、個人事業主に行くかもしれない。または、グローバルの中小企業をターゲットとするかもしれません。中期ビジョンとコーポレートビジョンでは、時間軸が違うのです。

会社としての究極的なビジョンは「すべての人」がターゲットであり、中小企業だけを限定としているわけではないことを、認識しておいてもらえればと思います。

また、国内だけにとどまらず、必ずグローバルへと大きく展開を目指します。(実際、10年近くずっと海外事業をすでに展開しています)

ターゲットが「すべて」って欲張りすぎでしょ・・・と思うかもしれません。そこで、次の「一歩先の」という言葉が大事になってきます。

「一歩先の」という言葉には、二歩先でもなく、三歩先でもなく、誰もが足を踏み出せる一歩先を提示して、高すぎないステップですべての人を一歩ずつ前進させたいという想いを込めています。

ビジネスチャットのChatworkが、誰もが簡単に使えることを重視しているのは、この「一歩先」という言葉から来ています。中小企業を戦略上の最初のメインターゲットとしているのも、中小企業向けに「一歩先」となるプロダクトがほとんど提供されていないと思っているからです。

ミッションが事業ドメインを規定しているように、ビジョンは事業内容を規定します。Chatworkが提供する主たるサービスは、すべての人をターゲットにし、誰もが簡単に使えるサービスである必要があるのです。

小さい一歩かもしれないけれど、すべての人が、常に一歩先へと歩み続けることで世界を変えていきたいと思っています。

Chatworkのバリュー

バリューは以前投稿した「最終面接で確認する、3つのフィット」でも書いたとおり、会社とのカルチャーフィットにおいて非常に重要な言葉となっています。

バリューがズレていると起きる問題を、私はよく大学の「サークル」「部活」の違いで説明することが多いです。

例えば、同じテニスというスポーツでも、ワイワイ楽しんでプレイするテニスサークルと、ガチでハードな練習をするテニス部があることが多いと思います。(※一般的に)

ガチでやりたい人がサークルに入ったらストレスが溜まるでしょうし、楽しみたいだけの人が部活に入ったら、キツすぎてすぐに辞めてしまうことになるでしょう。

それぞれの人の価値観が間違ってるわけではなく、あくまで所属する組織で重視している価値観とのギャップにより、不幸が生まれることになります。

最終面接で確認する、3つのフィット

バリューは、事業を進めていく上でのスタンス、ワークスタイルを表しているのです。

Chatworkのバリューは、以下の3つとなります。

遊び心を忘れず、チャレンジを楽しもう。速く学び、変わり続けよう。チーム・顧客・社会に対して誠実に。

それぞれ、同じように分解していくことができます。

遊び心を忘れず、チャレンジを楽しもうの分解

「遊び心」を、バリューに入れている会社は少ない気がします(笑)

やるべき仕事をただその通りこなすのではなく、遊び心を持って相手を驚かせたり、喜ばせたり、いつも心にユーモアを忘れずに取り組もうという想いを込めています。

ユーモアがある組織は創造性が高いという研究結果もあるそうで、ミッションの「創造的に」という言葉ともリンクさせています。

また、ユーモアがある組織は関係がフラットであり、心理的安全性が高い関係性になるのではないかと思っています。

そして、新しい価値観を社会へ実現することはチャレンジの連続です。

「チャレンジを楽しもう」という言葉として、挑戦を尊び、失敗を恐れず困難なことこそ楽しんでいくマインドを大切にしています。

速く学び、変わり続けようの分解

VUCAの時代と言われ、社会も市場も顧客もどんどんと変化していきます。その不確実な未来において、何より大事なことは「速く学ぶ」こと。

考え抜いても正解などないことは多く、粗く・速く試してみることで学びを得て、正解に近づけていく力が必要です。

そして、例えその時に正解だったとしても、時間とともに変わっていく。

ビジョンにもあるように、自分たち自身も常に「一歩先へ」アップデートし続けていきます。

チーム・顧客・社会に対して誠実にの分解

Chatworkでは、「誠実」という言葉を大切にしています。

自分のこと、自社だけのことではなく、チーム・顧客・社会のステークホルダーすべてにとって、良いと思えるような意思決定・行動をしていくことに価値を置いています。

電気・ガス・水道のようにビジネスチャットは働く人にとっての社会インフラであると思っています。安心・安全に信頼できるサービス提供をこれからも目指していきます。

MVVが表す、会社の姿

これらのミッション・ビジョン・バリューをつなげてひとつにすると、

Chatwork株式会社は、働くをもっと楽しく、創造的にするために、「遊び心を忘れず、チャレンジを楽しもう」「速く学び、変わり続けよう」「チーム・顧客・社会に対して誠実に」という考え方を大切にしながら、すべての人に、一歩先の働き方を提供し続けることを目指します。

という、会社のアイデンティティを表す文章となります。

Chatworkという会社における、事業や組織、制度やカルチャーなどすべての意思決定において、この文章を体現するように会社経営を行っています。


あわせて、この記事に関連する他の投稿もどうぞ

ビジネスチャットのChatworkという、会社のメイン事業となるプロダクトをつくった時のバックストーリー。MVVというあるべき理想像と、事業を立ち上げる生々しい現実の対比を感じてもらえるかもしれません。

記事中でも触れましたが、ミッション・ビジョン・バリューから生まれてくるカルチャーと、新たに採用する人がフィットするかは重要な観点です。最終面接で私が確認している3つのフィットについてまとめてみました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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