M-1グランプリ 2022 感想
お笑い論とかそういうのは全く分からない勢の個人の気持ちです。
1. カベポスター
ゆるい雰囲気かと思いきや尻上がりに笑いを生み続け、採点後の「人生何やと思ってんの?」で茶の間に充分すぎるぐらい爪痕を残してくれた。永見さんのクセ、技巧派の話術、聞きやすさと何拍子も揃っていた上に感動すら覚える回収が素晴らしい。言い尽くされてるだろうけど、トップじゃなかったら…!山田邦子女史の「84点」は大会に一石を投じる衝撃を与えたと思う。
2. 真空ジェシカ
インテリジェンスを感じるワードが冴え渡り、あのノリと世界観で4分にボケを撃ち込みまくる地力には感服するし、「かいみょん」からの「目は死んでいません」の構成が凄まじい。らしさ全開だなと思いつつ、緻密で難易度が高めのボケが含まれたのが点に影響したのかも。川北さんの終盤の間は計算だったのか?演技力もよいし、ラッキーどんぐりのツカミも大好き。
3. オズワルド(敗者復活)
準決ネタを微調整して仕上げる技術と完成度はさすがの一言。塙氏の寸評にもあった通り観る側の想像力に左右されるネタだったけど、畳みかける毒ツッコミとサイコ畠中のシュールな語り口のバランスの良さは唯一無二の魅力だと思う。既に売れっ子、どうにも期待値が上がる一方で鮮度は損なわれる4年連続出場が切ない、けど報われてほしいコンビ。河童のくだりが好き。
4. ロングコートダディ
テンポもよく、これ以上ないだろうと思ったら軽々と超えてくるボケの応酬で分かりやすいテーマを縦に展開し、ラスト伏線の大回収。堂前さんのセンスが存分に発揮され会場にもハマった印象だった。お味噌汁を持つ兎が「楽しみやなぁ」と呟いたのが意味不明で面白すぎる。「大奥に抜かされた!」が一番好き。足音で唯一「青春」が聞こえなかったけど、兎の存在が芸。
5. さや香
シンプルにめちゃくちゃ面白いしゃべくりの王道漫才。「ただのアホな口論」のリアルさに加え、二人の熱量を効かせつつ「エロいやん」「免許奉納」という外さないパワーワードが最高だった。狂気的な立場をシームレスに入れ替え、オチでアクションが揃う完璧な一本。会場に一番の大爆発を生み、いったなー!と直感した。個人的には大吉先生と同じく優勝コンビ。
6. 男性ブランコ
いや~音符が見えた。音符運びなんていうファンタジーな設定と運搬中の流血事故が何の違和感もなく面白いのは二人の人間味の賜物だと思う。相方のミスによりffの凶刃に倒れる浦井さんの「お前…」の鮮やかさ、平井さんのアワアワが後から効いてくるのが素晴らしい。少ないボケ数にも無駄がなく「ダブルあさま山荘」が超絶に味わい深かった。二本目観たかったなー!
7. ダイヤモンド
これも順番の妙なのか、冒頭からどこか会場がクールダウンしていた感じ。私は初見だったけどありそうでなかったテーマが巧いなと思ったし、不自然ローソン&定価ローソンの言葉遊びや掛け合いも馴染みやすくて良かった。単調なピッチで場の空気を掴み切れないまま終わったものの、野澤さんのあの表情は確実に全国に刻まれたし、ここから今後どうハネていくか楽しみ。
8. ヨネダ2000
すごすぎ。初見では誠ちゃんが何役もこなしていることを理解できず、ただ世界観に引き込まれただけで一度も笑えなくて二回目でやっと追いついた。素に近い愛ちゃんのツッコミ、奇天烈で意味不明なのに秩序と芸術性が覗くネタ構成、大一番であれをぶちかましてくる2年目の強心臓ぶり…とんでもないな!天才が認知される瞬間を目撃した気がする。平場も強そうだし。
9. キュウ
謎かけメインの知的な芸風と思いきや顔芸(?)も加味されたのが予想外すぎて、何だよそれ!と笑ってしまった。独特のトーンが魅力的ながらダイヤモンドの「もね」同様「~でしょう」がハマらず凹凸がなかった印象。これも順番に泣かされたなと思ったけどキュウが9番目に登場で9位ってのも出来すぎというパラドックス。反省会観てたけど二人とも性格良さげ。
10. ウエストランド
キレッキレ痛快の毒舌&偏見ツッコミにボソボソしたボケというバランス感が絶妙。パワーワード乱れ打ちで間違いなくそこに爆笑を生み、運と流れを巻き込んでゾーンに入っていた。あくまでネタだと分かりつつも、過剰コンプラの時代とか関係なく個人的には笑えなかった。全方位にリアルをディスるという路線が苦手かも。優勝の瞬間の泣き顔は本っ当に美しかった。
おわりに
何かを不快に思った時、本来の意味を飛び越えてコンプラだのハラスメントだの言う風潮自体がハラスメントに近い。ウエストランドはずっと前から今のスタイルで、その一貫性が2022年の今に隙間なくハマっていた。
彼らの漫才に対してネガティブな民に対して肯定派が「まさにネタに出てきた "漫才の分析する奴"だ!」と言い、「その意見こそが井口の養分」「まんまと漫才に回収されている」と否定派を揶揄する…の構図がエンドレスで胸やけ。漫才の感想は分析なのか。
そもそも笑いに公平な基準なんぞなくて、結局見る側の好みに分かれるんだからもういいじゃない…
なにはともあれ運営の皆様、M-1戦士の皆様、本当にお疲れ様です。時代を感じる大会でした!
この記事が参加している募集
読んでくださってありがとうございます!スキやコメントをウキウキしながら辿っている初心者です。ご縁とサポートが、日々の励みになります。