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赤ずきん

むかし むかし、あるところに、とても可愛い女の子がいました。
女の子は、赤いずきんをかぶっているので、赤ずきんちゃんと呼ばれています。

ある日、お母さんから病気のおばあさんに、ミルクとお菓子を届けて欲しいと頼まれました。
赤ずきんちゃんは、はじめてのお使いが、嬉しくて仕方ありません。
「お母さん、行ってきます」
赤ずきんちゃんは、張り切って出かけて行きました。

広い草原を歩いて行くと、大きな森が見えてきました。
「森を抜けたら、おばあさんの家だわ」
赤ずきんちゃんは、早くおばあさんに会いたくて、どんどん歩きます。

すると、突然オオカミが現れました。
「そんなに急いで、どこに行くんだい」
大きなオオカミは、優しく聞いてきました。
「おばあさんのお見舞いに、ミルクとお菓子を届けに行くのよ」
赤ずきんちゃんは、オオカミがとても怖い動物だと知らないので、つい話してしまいました。
「そうかい偉いね」「それなら花を摘んでいくと良い」
オオカミはそう言うと、花が咲いているところに、赤ずきんちゃんを連れて行きました。
「しめしめ、とんだご馳走と出会えたものだ」
何も知らない赤ずきんちゃんは、きれいなお花に夢中です。
「わぁ きれいなお花」
「さあ いっぱい花を摘んで、おばあさんを喜ばせてあげるんだよ」
するとオオカミは、赤ずきんちゃんに気づかれないように、おばあさんの家に向かいました。
おばあさんを、先に食べるためです。
「やっと食べ物にありつける」
オオカミは、お腹がぺこぺこです。
何日も食べてないので、とてもお腹が空いていました。
森には、ウサギやキツネなど、オオカミが食べる生き物がたくさんいます。
ところが、人間が獲ってしまうのです。
赤ちゃんを産んだばかりのオオカミは、おっぱいが出なく成ってしまい、とても困っていました。
このままでは、大事な赤ちゃんたちは、死んでしまいます。
赤ちゃんを守るために、オオカミは必死でした。

やがて、赤ずきんちゃんは、お花をたくさん抱えて、おばあさんの家にやってきました。
「トントン」「おばあさん、赤ずきんよ、ドアを開けてくださいな」
すると、おばあさんの声を真似た、オオカミが返事をしました。
「赤ずきんかい、早く中にお入り」
オオカミは、おばあさんのフリをして、ベッドで横になっています。
赤ずきんちゃんは、ベッドで寝ている、おばあさんのそばに行きました。
「あら?」
赤ずきんちゃんは、おばあさんの顔を見て、何だか変だと思いました。
大きな耳と目、そしてとても大きな口は、おばあさんと違うような気がするからです。

「おばあさんのお耳は、どうしてそんなに大きいの」
赤ずきんちゃんは、恐るおそる聞きました。
「それは、お前の声が、良く聞こえるように大きいんだよ」
オオカミが応えます。
おばあさんの目は、どうしてそんなに大きいの」
赤ずきんちゃんは、また聞きました。
「それは、お前の顔をよく見るためだよ」
オオカミは言いました。
「おばあさんの口は、どうしてそんなに大きいの」
「それは、お前を食べるためだよ!」
オオカミはそう言うと、赤ずきんちゃんを、一飲みにしてしまいました。

オオカミは、おばあさんと赤ずきんちゃんを食べ、お腹が一杯で寝てしまいました。

しばらくすると、猟師がおばあさんの家の前を通りました。
すると、家の中から大きなイビキが聞こえてきます。
あまりにも大きなイビキなので、猟師は家の中をのぞいてみました。
「あっ!」「これは大変だ!」
ベッドで寝ているオオカミを見て、猟師はあわてて、家の中に入りました。
オオカミのお腹は、今にもはち切れそうに膨らんでいます。
「おばあさんを食べたんだな!」
そう言うと猟師は、オオカミのお腹を、ハサミで切り開きました。
すると中から、おばあさんと赤ずきんちゃんが出てきたのです。
「おばあさん!」赤ずきんちゃんが叫びます。
「赤ずきん!」おばあさんも叫びました。
赤ずきんちゃんとおばあさんは、抱き合って喜びました。
それから、助けてくれた猟師さんには、何度もお礼を言いました。
「ありがとう猟師さん」
「あなたのおかけで、命が助かりました」
赤ずきんちゃんとおばあさん、猟師さんの3人は、楽しそうに笑いました。


そのころ森では、オオカミの赤ちゃんたちが、お母さんを待っていました。

     おしまい





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