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【180字小説】未練残さず、去る事

 それは月さえ出ていない夜だった。
 お互いの顔さえ見えない中での、最後のお別れ。
「いままでありがとう。本当に楽しかった。これからも元気でね」
「うん。君こそ元気で。まさかこんなお別れの日が来るなんて思いもしなかったよ」
「私も」
 そうして二人は別れていく。
 それは月さえも出ていない夜。
 流す涙が見えない事は二人の未練を残さないために、よかったのか、それとも・・・

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