【超短編小説】焼きそばが食べたい(家族バージョン)
妻が子どもたちに聞いている。
「今日のお夕飯なんにしょっか?」
6歳と4歳の二人の息子が、
「焼きそば食べたいー!」
と叫ぶ。
「焼きそばかあ。ちょっと考えてみるね」
僕はてっきり夕飯は焼きそばになるものだと思っていたのだが・・・
夕飯に出たのはカレーだった。
「ええー! ママ。焼きそばがいいって言ったのに!」
そう子どもたちのブーイング。
当然だよ。じゃあなんで子どもたちに聞いたの? って話だ。
だが、妻はニコニコと笑っている。
ぶつくさ文句を言いながらスプーンを手に取ってカレーを口に運ぶ息子たち。
その瞬間、彼らの目が変わったのを僕は見た。
「おいしー! やっぱカレーでよかったや」
現金な息子たちと、妻の手料理のうまさに舌を巻きながら、でもやっぱり最初からカレーでよかったんじゃない?
なぜ聞いた?
とあらためてこの人は不思議な人だなあと思う。
結婚8年目。
まだまだ、この人は底知れない。
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