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【超短編小説】焼きそばが食べたい

 うちの奥さんが聞いてきた。
「ねえ、今日の夕飯なにが食べたい?」
 僕はうーん、とちょっと考えて
「焼きそば! 今日は完全に焼きそばの日だ!」
 そう答える。
 それに、奥さんは、
「あら、じゃあ今日は唐揚げにしましょうね」
 と。
「いや! いじわる? 焼きそばの日だってば。それ以外考えられないよ」
 そう抗議するが、奥さんはふふ、と笑ってキッチンへと向かう。

 夕食ができて、唐揚げが出る。
 食べる。
 カリカリの食感。ジュワッと広がる肉汁。
 僕は、あ・・・とつぶやく。
「今日完全に唐揚げの日だった。唐揚げを食べたから気分がかわったんじゃない。いまわかった。今日は唐揚げだ。
 ねえ、なんで? なんでわかるの?」
 その質問に奥さんはまた、ふふと笑った。

 僕より僕の事をわかってる。
 うちの奥さんは偉大だなと思う。

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