見出し画像

【超短編小説?】価値観の違い

「世界一の景色をみせてやるよ!」
 彼は彼女に言う。
「明日はとうとう俺の武道館ライブだ。ライブの最後、お前にも舞台に上がってもらう。そこで言いたい言葉があるんだ」

 だが、彼女は首を振る。彼は驚いて、
「なぜ? すごい光景になるはずなんだ。それをお前にも味わって欲しいんだよ」

 彼女はまた首を振って、
「私にとっては、あなたが舞台でみんなのために全身全霊で歌ってる姿を見る事。それが世界一の景色だよ。私はあなたとは違うの」

 そして、

 明日二人の夢が叶うね。
 そういたずらっぽく笑った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?