苺、実るか。

夫が職場の人から、苺の苗を貰って来た。

有難いが、私は微妙な気持ちだった。何故かというと、ウチのマンションはベランダが比較的広くて（2〜3人用のテントなら置けるかも）、もしガーデニングが趣味なら色々楽しめたんじゃないかと思うのだが、残念ながら夫はそういう事に興味はないし、私は草花を育てるのが下手過ぎて、どんなに育てやすい植物でもすぐに枯らしてしまう人間なのだ。

おまけに以前にも一度、（その時は私の職場の同僚から）苺の苗を貰った事があり、せっかくだからとプランターに植え、せっせと育ててみたけれど、結局小さな実が数粒なっただけで終わってしまったという実例がある。（実がなる前に枯らさないだけマシだった、とも言えるが）

なのでビニール袋に入った苗を見ても、「へー」と薄い反応しか出来なかった。

たいして興味を示さない私に、夫は「ウチに土ってあったっけ？」だの「苺ってさぁ、水耕栽培とか出来ないのかなぁ」だの、しきりに話を振ってくる。なんとか私に世話を頼もうと必死なのだ。（分かり易過ぎる）

いやいや今回は夫が貰って来たんだから、夫が育ててくれ！そう思った私は、その日は苗を夫に任せてさっさと寝てしまった。

　　　　　　　　　　＊

翌日、休日だった私が少し遅めに起きると、夫は既に仕事に出掛けていた。

良い天気だから布団でも干すかと、えっちらおっちら布団と枕をかかえてベランダに出ると、スロップシンク（流し台）の所に、ビニール袋に入ったままの苺の苗がちょこんと置いてあるのが目に入った。

あ〜あ、やっぱり。まあ昨日はどうする事も出来なかったのはしょうがないとして……でも、あの様子だと確実にこの苗、このまま放置だろうなぁ。さすがにそれは気が咎めるよなぁ。しかもすでに葉がクタッとなっちゃってるし……あーもう！しゃーない！

私は急いで『苺　苗　育て方』とスマホで検索し、えーっと、なになに？プランターは前に使ったのがあるからいいとして、あとは鉢底石と土があればいいんだな。おっ、どっちも100均で買えそうじゃん！よし、じゃあ行ってくるか！と近所のダイソーに車を飛ばした。

その後、ダイソーで購入したものとプランター、それと軍手や古新聞も用意した。あとはポットから植え替えるだけである。「意外と楽勝じゃん♪」と気楽に考えていたのだが、やはり物事そう簡単にはいかなかった。一株だと思っていた苗をポットから出してみると、実は小さな苗が沢山入っていたという事実が判明した。

えっ⁈これどうしたらいいんだろ……？沢山のミニ苗を前にして、パカッと取り出してサッと植え替えればいいと思っていた私は、唖然となった。

元気そうな苗だけ選別して植える？いや、素人目にはどれも同じ様に（クタッとして）見える。じゃあ2〜3本を一株として植えてみようか。でもそうすると、プランターひとつじゃ完全に飽和状態になってしまう。うーん……あ、そうだ！他に使っていない鉢があったな。えっと、あれは確かこの辺にしまったと思ったんだけど。しっかし、最近涼しかったのに、なんで今日に限ってこんなに暑いんだ？

とまあそんな感じで、ジリジリと太陽が照りつけるベランダで一人「あーじゃない、こーじゃない」と試行錯誤しながら、どうにか植え替えが終了した。

これが正しいやり方なのか、全く分からない（おそらく正解ではないだろう）。だが、やれるだけの事はやった。あとは苺の生命力に期待するしかない。

果たして苺は実るのか？

Stay tuned！（なんちゃって）