芸術家の頭の中は。
先週、『草間彌生美術館』に行ってきた。
ここを訪れるのは2回目。前回はいつだっただろうと調べてみたら2019年だった。草間彌生の作品の中で、かぼちゃのモチーフが好きな方は多いと思うが、私もその一人である。先日ふと「あ、またかぼちゃ観たいな」と思い、5年振りに足を運ぶ事にした。
久しぶりの都内。電車に乗るのも久しぶりだ。普段の移動は基本的に車なので、着るものに少々迷う。天気は良いが、外を歩くから上着が必要だろうか。でも電車の中では暑いかな。暫し考えて、まあ暑ければ(荷物になるけど)脱いで手に持てばいいやと、薄手のコートを羽織って出掛けた。結果、日が暮れてから地元に帰ってきたら、都内よりだいぶ寒かったのでコートは正解だった。
『草間彌生美術館』の入場は、日時指定の完全予約・定員制(各回90分)だ。チケットはウェブサイトのみでの販売である。私は前日仕事(夜勤)だったので、ゆっくり家を出られる午後の回を予約した。
10分ほど早く到着。入場開始時間まで待たされるかな?と思ったが、すぐに入れた。
前に訪れた時もそうだったけれど、『草間彌生美術館』は外国人の来場者がとても多い。今回も半数近くは海外の方だった。それだけ世界的に人気のアーティストなのだと、改めて認識させられる。
建物の1階から5階までが展示フロアとなっており、館内は一方通行。1階から順に上の階に進むようになっている。
時間が90分限定なので、割と皆んな早めに移動するが、あまり急ぐと時間が余ってしまうのは前回経験済みだ(もちろん何周したっていいのだが)。なので今回私は、人がほとんどいなくなったフロアをゆっくりと観て回る。
絵画だけでなく、ソフト・スカルプチュアという布に綿(?)を詰めた立体作品、そして巨大なかぼちゃのオブジェ……草間彌生は、幼少期から幻視・幻聴を体験し、網目模様や水玉をモチーフにした絵画を制作し始めたというが、作品に表現されているものが、そっくりそのまま頭の中にあるのだとしたら、それはかなりハードだと思う。創作活動は、それらに自身が埋め尽くされないよう必死にかき出している作業なのだろうか。
美術館を出ると、少し日が翳り始めていた。
そして私は、めちゃくちゃ空腹を感じていた。作品にパワーがあるので、真剣に観るとこちらもかなりエネルギーを消耗するのだ。
「駅で何かガッツリしたものを食べてから、帰りの電車に乗ろう……」
夕暮れ間近の空の下、私は急いで東京駅へと向かった。