婚約破棄によって結婚への執着が生まれた話

マッチングアプリから始まって現在は結婚相談所にまで手を出し婚活をしています。なぜそこまで結婚に執着しているのかと考えると、2年ほど前に婚約破棄を経験したことが大きなターニングポイントになっているのだと気付きました。

それまでは良い人がいればいずれ結婚できたら良いなぐらいの心持ちでした。しかし人は手にしたことのないものはなくても我慢できるけど、一度手にしかけたものを失うとそれが欲しくてたまらなくなるものなんだと思います。結婚目前まで辿り着いてそれがすべて白紙になってから、結婚への憧れや焦り、執着心が生まれた気がします。

元婚約者(青木さんとします)とは会社の後輩の紹介で知り合いました。後輩の大学時代の同級生で、男女3対3の飲み会で初めて顔を合わせました。青木さんは新幹線で2時間ほどの遠方に住んでおりそもそもなんで紹介されたのか謎でしたが、時々友人に会いにこちらに遊びに来ているとのことでした。その場でLINE交換しメッセージ交換を続けました。

遠距離だけどまた会いたいと思い「用事があってそっちの方に行くから遊ぼう」と口実を作って誘い、自然が満喫できるスポットを歩いて夕食を食べてバーに行きました。そこからまたメッセージだけのやり取りが続き、向こうがこちらに来る用事があったのでその時に会う約束をして水族館→食事→花火大会→夜景という欲張りセットな1日を過ごし、こちらから告白してお付き合いがスタートしました。会えるのは月に1〜2回でしたが泊まりで土日両日会うこともあり、遠距離の不安感も特に感じることはありませんでした。喧嘩やトラブルもなく順調でいずれは結婚したいというような話もしていました。

交際開始から半年ちょっと経ち、僕の家の事情(身バレ防止のため詳細は控えますが家業関係)で約1年間ほぼ缶詰め状態でまともに会えない日が続くことになりました。正直そこで振られても文句は言えないなと思っていたのですが、青木さんは待ってると言ってくれました。その時自分にはこの人しかいないと感じたのを覚えています。

まともに会えなくなってもしばらくは順調だった気がします。とは言ってもやっぱり負担はかけていたし不安な気持ちにさせてしまっていたと思いますが。あと2ヶ月程の我慢というところで雲行きが怪しくなってきました。自分が最近身だしなみにあまり気を遣えていなかったこと、たまに会ってもあまり楽しくなかったことを伝えられ、距離を置きたいと告げられました。ショックでしたし、すぐ会いに行って直接話をしたいけどそうもいかないという状況がとてももどかしかったです。

家の事情が落ち着き、僕自身はまた自由に身動きできるようになったのですがちょうど新型コロナが蔓延し始めた時期でした。すぐに青木さんのところに行って話をしたかったのですが、コロナ禍の中で県を跨いで会うのは抵抗があると断られてしまいます(青木さんは家族が医療関係の仕事をしていることもありコロナをだいぶ気にしていました)。電話で話したりもしていましたが向こうの気持ちは固いようでもう終わりかもしれないと覚悟していました。

そんな中、緊急事態宣言が明けて感染者数も落ち着いたところでようやく会う約束ができました。こちらから会いに行ったのですが、車で4時間ほどの距離を日帰りだったので寝ないように死ぬ気で運転しました。別れを告げられることを覚悟していたのでせめて最後に直接話したいという気持ちで向かったのですが、会ってみると拍子抜けするほどスムーズに仲直りでき会話も弾みました。
帰る前に「これからのことを話したい」と言われたので「仲直りできたと思ったけどやっぱり振られるのか…」と思いましたが、まさかの「早く結婚したい」という内容でした。事態を飲み込めず脳の処理能力も追いついていませんでしたが、振られず仲直りできたし、結婚したいと思っていたので早くても良いと思いました。快諾して諸々は電話で話し合うことにしました。その日はまた4時間運転して帰宅後爆睡し、翌日両親に結婚報告をしました。

何度か青木さんと電話し入籍日や住居などの相談をしました。僕は会社に社宅の相談をしたり(結局具体的な話まではいきませんでしたが)青木さんは結婚を期に仕事を辞めこちらで仕事を探す予定だったので会社に退職の相談もしていたようです。青木さんは「今まで住んでいた場所を離れての新生活は不安」ともたびたび漏らしていましたが、よくあるマリッジブルー的なものと思いそこまで気にはしていませんでした。お互いの家族への挨拶は、僕がまず青木さんの家族に挨拶に行き、その後しばらくしてから青木さんが僕の家族に挨拶に来る予定でした。しかしそう上手くはいかなかったのです。

青木さんへの家族挨拶は運転もあって日帰りはしんどいので1泊にしました。土曜は青木さんの家族がちょうど不在らしいので泊めさせてもらい、日曜に家族が帰ってくるので一緒に食事しつつ挨拶するというスケジュールです。土曜に二人で話していると「やっぱり今まで住んでいた場所を離れての新生活は不安だから結婚はちょっと考えなおしたい」と打ち明けられます。更には、解決したと思っていた僕への不満も完全には解消されていなかったようです。しかし日曜には家族への挨拶がひかえていました。どうすれば良いんだ…と思いつつ結局日曜は予定通り挨拶はすることに。挨拶自体は特に問題もなくスムーズにいったのですが、こんな状況で「娘さんと結婚させてください」と言うのは少し罪悪感がありました。

その後も青木さんとは電話で何度か話し、結婚はひとまず保留とすること、それに伴い僕の家族への挨拶も中止することにしました。青木さんは家族に「自分勝手過ぎる!」ともの凄く怒られたとのこと。結婚は保留になりましたが、このまま交際を継続していって青木さんの新生活への不安が解消されたら再度結婚に向けた話をしようと思っていました。しかし「たうに対して昔ほどの気持ちはない。もうただの良い人としか思えない。このまま付き合い続けるのも申し訳ないから別れたい」と言われてしまいました。「それも良いし好きなだけ待つから」と食い下がりましたが向こうの決意は固く、結局お別れすることになりました。お別れしたことは自分の両親にはなかなか切り出せず、最終的に両親から「結局どうなったの?」と聞かれた際にお別れしたことを伝えました。会社に「結婚の話はなくなったので独身用の社員寮のままでいいです」と伝えるのもなかなかつらかったです。

これまでの失恋の中でも一番ダメージが大きかったですが、意外と青木さんへの未練はなくすんなり気持ちを切り替えることができました(そう思い込んでいただけかもしれないですが)。僕視点で書いた文章なので青木さんが自分勝手に見えるかもしれないのですが、むしろ僕の家の事情で1年ほどまともに会えないとなった時点で振られても文句は言えないと思っていたので、むしろよく待っててくれたなと思っています。青木さんへの恨みや文句はまったくありません。

もともと結婚願望がそんなに強かったわけではなかったのですが、目前までたどり着いたにも関わらず手に入れることのできなかった「結婚」というものに強い憧れを抱くようになりました。ここから約半年後に初めてマッチングアプリをインストールし、長い婚活生活がスタートすることになるのです。



                 


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