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私がもう一度行きたい場所

ラストオーダーまで残り50分のところでようやく私たちは気づいた。時間配分を間違えたことに。
私がもう一度行きたい場所は友人と行った食べ放題の焼肉である。大学へ入学して早一週間。高校の時の友人と久しぶりに遊びに行くことになった。お互いの近況についてゆっくり話せるいい機会であり、当日の朝は楽しみすぎて早起きが苦手な私がその日は目覚ましなしで7時前に起きるという異例の事態を引き起こした。
そして友人に会い、大学生活についてや始まったばかりの授業についてをぽつぽつと話しながらあっという間に午前中が過ぎていき、ちょうど12時をまわった頃に私たちは食べ放題の焼肉屋に来ていた。昼時であり混んでいるだろうという私の予想に反して、店内は人がまばらであり内心少し驚きつつ案内されるままに席に座った。メニューを見て食べ放題のコースを選び、コースについて説明を受け終わりいざ注文しようと2人して注文用のタブレットを覗き込んだ。ここからは正直あまり記憶がない。
まず最初に問題だったのが、2人とも時間制限というものを過剰に考えていたことだった。大学の一講義の授業時間90分に体内時計が狂わされていたのかもしれない。タブレットに映し出される【ラストオーダーまで残り70分】という文字に私と友人の思考は多分一致した。そこからは2人の怒涛の注文ラッシュだった。肉の皿であっという間に机は埋まり、友人に至ってはソフトドリンクの1杯目を僅かに口にした後二杯目のソフトドリンクを頼むという暴挙に出ていた。片方が肉を焼いて片方が食べを交互に繰り返し、食べ放題開始20分にして約十数皿をお腹にいれた。そして冒頭に至る。
その時点で私はほとんど満腹であり、友人についても「眠くなってきた」とお腹がいっぱいになると眠くなるという謎の赤ちゃん体質に陥っていた。しかし、頼んだメニューはまだ残っており野菜類が運ばれてきた。幸いにも肉類は全て食べ切っていたので、残りはたった今運ばれてきた野菜を食べ切れば完食だった。そのときの塩キャベツのしょっぱさは今でも記憶に残っている。食べ物を無心で食べることなんて後にも先にもあのキャベツ一回であると思いたい。あれが野菜だったからまだ詰め込めたが、もしカルビやハラミなどの肉類が運ばれてきていたら比喩ではなく本当にその場で胃が大きな音を立て破裂していたに違いなく、今回の経験は非常に印象深い経験だった。
この経験から、食べ放題はあまり時間に囚われすぎないように楽しむことが大事だと身を持って知った。
私のもう一度行きたい場所が食べ放題の焼肉屋さんであり、近々もう一度友達とリベンジしにあの店に行こうと思う。

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