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アメコミ紹介 グリーンアロー・イヤーワン

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 この記事は私が読んだアメコミの感想をつらつら書いていく回です。やる気があれば続きます

あらすじ

 生まれた時から苦労知らずのおぼっちゃまオリバークイーン。金と暇を持て余し放蕩三昧だった彼はある日、事業計画に重大な脱税があることを知る。更にマフィアによって口封じのためボートで海にバカンスしている最中に襲撃され、一命をとりとめるも遭難し絶海の孤島に辿り着く。なんでも金で解決してきた男にとって身一つで生き延びねばならない環境は最大のピンチであった。頼れるのは、唯一の取り柄であった弓の腕だけ。孤島での生き延びる為の戦いの中でオリバーは自らを見つめなおし、やがては自分をこの場所に導いた陰謀に立ち向かっていく。


馴れ初め

 本作は初めて私が読破したアメコミ原書です。何故これを選んだのかと言えば、きっかけはドラマです。ARROWというグリーンアローを原作としたドラマにハマっていました。なのでもっと活躍を見たい、コミックのグリーンアローも読みたいという欲求がありました。そんな時丁度DCが電子セールをやっていて200円という定価の1割ほどの値段で売っていたので買いました。一割引きではありません、一割の値段です。九割引きです。他にもスーパーマンとかヘルブレイザーとかも買いました。それでも千円程度でした。一冊二〇〇円なら読まずに積んでもいいかなと気楽な気持ちで買いました。とまあそんなわけで選ばれたわけです。題名にイヤーワンとある通りヒーロー活動一年目を描く、つまり誕生エピソードなわけですね。軽薄なプレイボーイだった男がどうやってヒーローを目指すようになったのかという話を描いています。なので、予備知識がなくてもここから読み始められるという点で本作は優れています。

こんな人におすすめ

  • ARROWのドラマが好きな人

  • チャラい男が変わっていく話が好きな人

  • アイアンマン(映画)が好きな人

 特に三番目について。本作は何とアイアンマン一作目と大筋は一緒です。金持ちで軽薄な男が自分の権威が通じない場所に飛ばされる。そこで自らの腕を頼りに生き残り、人の優しさや自己犠牲の勝ちを知り、自らもその恩に報いる為ヒーローになることを決意する。そしてラストは自分を陥れた陰謀の黒幕とバトル。多少箇条書きマジックなところはありますがそこまで間違っていないと思います。なので予習としてアイアンマン見た方がいいかもしれませんね。しかし、もちろん違う点もあります。まずはその名前、
グリーンアロー。これを見てどう印象を受けるでしょうか。そう、弓を使うヒーローですね。そうです、グリーンアローの武器は弓と矢だけです。しかも今作だと孤島が舞台なので漂流物で作った手製武器です。アイアンマンは洞窟でもスーツを作り、会社に戻ってからはハイテク技術満載のスーパー兵器を作りました。しかしグリーンアローにあるのは弓と矢だけ。一方敵は銃にヘリに船にと現代兵器で武装した集団。ド派手でスタイリッシュな戦いではなく泥臭いゲリラ戦法が彼の持ち味なのです。更に、グリーンアローの弓と矢、緑というモチーフはロビンフッドから来ています。庶民の味方でありブルジョアと戦う戦士なのです。大富豪であるオリバーがロビンフッドの再来となる。そのことの意味を深く掘り下げているのが本作なのです。DCコミックスで言うと何かとバットマンと比較される彼ですが、スーパーパワーは金と言われるほどのリッチなバットマンに対し、グリーンアローはより庶民に近く下町のヒーローであると位置付けられています。本作で描かれたオリジンにも、貧しき人々、虐げられし人々の代わりに悪に立ち向かうという部分が印象深く描写されていました。なのでグリーンアローというキャラクターは生まれ持ったセレブの地位を捨てることでその説得力を増しているのです。

感想

 ドラマである程度の予習は済んでいたので、ああここは知ってる。とこういう描き方なんだという新鮮な驚きが両方ありました。また、ドラマとの差異としてコミックのオリバーは皮肉屋で口数が多いです。
 特に印象に残ったのはやはりその心情の移り変わりでしょうか。序盤のオリバーは刹那的で目先の楽しみしか考えていませんが、誰も自分をクイーン家の御曹司としか見ない、という自覚があり、孤独な男でもありました。しかし、島で出会った人間との交流はそう言った虚飾やレッテルのない生の感情と優しさがあり、ここで初めてオリバーは愛というものを知るわけです。
「後60年生きるか、60秒しか生きられないか、どっちにしろ関係ない。人生を懸けてこの恩に報いたい」
 そんなセリフを吐きながら、無数の敵に弓一つで立ち向かっていく。できるかどうかじゃない、ただやるべきと思ったことを放たれた矢のように突き進むだけ。そんなオリバーのオリジンを見たいなら、本作はおススメです。
邦訳もあるので手に入るならそっち買った方がいいかもしれませんね。私はお金ケチって原書読みましたが。
 それではまた。


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