女性を増やす適切な方法

  近年女性活躍の一環として政治家や管理職の女性割合を増やそうという取り組みがあり、これについて考察していきたい。


積極意見

 (過激な)フェミニストは「男女比は50:50じゃなきゃダメだ!」と言うが、より論理的に考えたい。出産や家事育児による業務継続の難しさ等が原因で、日本の、国会議員や管理職に占める女性割合は諸外国と比較して非常に低くなっている。衆議院の女性割合が10%とは異常な数字である。その結果組織・社会に性差別的な風潮が蔓延し、その表れとして女性差別的な発言が聞かれる。そこで高い地位に女性が増えれば組織内で女性の居心地が良くなるほか、上からの強い力で日本の女性問題(女性の労働の機会が不十分なことやハラスメント、性犯罪の処罰など)が変わるだろうから、女性割合を増やす必要がある。

慎重意見

 アンチフェミは「性別じゃなくて能力で選べ!」「やりたい人がやっているから問題ない!」と言うが、もっと冷静に、差別的要素を排除して考えたい。

同数でなければならない理由はない

 管理職や国会議員の男女比が完全同数でなければならない理由はない。実際に小学校・中学校・高校では男女比が偏ることがあるが、それが差別だと非難されることはない。

数合わせはNG

 また結局やりたい人がやれば良く、数合わせはNGである。サッカー部に男子が多いことに対して「女性差別だ!」という非難は聞いたことがない。女子を無理やりサッカー部に入れても何もよくならない。管理職も同様であり、無理矢理女性社員を昇進させると、本人も周囲も困惑する。ただし部活動と異なり、政治家は国民の代表であり、社会への影響が大きいから、なるべく半々であって(人口比に近づけて)ほしい。

女性が増えない原因を改善する必要あり

 長時間労働やハラスメント、産休・育休・子供の送り迎えといった子育てへの理解がない、こういった女性が働きにくい環境が改善されていないのに女性を採用しても退職してしまう(そもそも育児が女性に任されていることがおかしい)。

方向性

 以上双方の視点を踏まえると、女性が働きやすい環境を整えたうえで女性割合30%程度を目指すべきだと考える。30%はクリティカルマスといわれ、少数派であっても意思決定に影響を与えることができる水準といわれている。たしかに30%いれば一大勢力として認識できる気がする。また一度ここまで増加すれば、強制力が働かなくても自然の流れで(?)増える気がする。
 政府は「女性版骨太の方針2023」の案で、「2030年までに東証プライム上場企業の役員に占める女性割合を30%以上とすること」を示したが、妥当である。

女性割合が伸びている例

東京都議会は2021年の選挙で女性割合が32%となり、2022年現在47都道府県議会で唯一の30%超えとなっている。
 参議院は2022年の選挙で候補者の女性割合が33%となり初めて30%を超えたほか、当選者の女性割合が28%、2019年改選と併せると26%となっている。クオータ制を導入しなくても伸びている。
 自民党はこの選挙で比例代表公認候補の3割を女性に充てた。だが衆議院に岸田総理をはじめとする(男性の)大物政治家が多くおり、退くことが困難な分、参議院比例の女性割合はもっと増えて良いと考える。

理系学部の女子割合

現状

 管理職に女性が少ない原因は「出産・家事育児で継続的に働けないこと」などだと思われる。
 これに対し、理系に女性が少ない原因は「男は理系女は文系という無意識に植え付けられた認識」「偏見はないが理系が男ばっかりであることに対する敬遠」「女が理系なんて、という周囲からの圧力(これは少ないか…?)」
などだと思われる。
 そのため、「やりたくてもできない」というより「やりたがらない」という要素が強く、増やす方法が難しい。女子枠の設置は適切ではないだろう。

効果的な取り組み

①大学パンフレットで女子学生の活躍をアピールすること
 私がいる理系学部のパンフレットを見たら女子学生へのインタビュー等が多く掲載されていた。この方法のメリットは、女子高校生からの印象が良くなることである。当然ながら無理矢理理系に行かせたり、男子の進学機会が減ることはない(結果的に男子割合が減るかもしれないが、人気が増したため合格ラインが上がるのは自然なこと)。
②女子大での理系学部設置
 奈良女子大学は2022年度に工学部を設置したほか、お茶の水女子大学は2024年度に共創工学部を設置する予定である。この方法のメリットは志願者さえいれば自然と女性技術者が増えることと、男ばかりの環境を敬遠する女子にとっての選択肢となりうることである。

まとめ

 日本は女性活躍が遅れているため、それを推進する必要がある。しかし数合わせはNGであるため、女性が働きやすい環境を整備したり、女性の活躍をアピールしたりすることによって割合30%程度を目指すことが適切であると考える。

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