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是々非々の是非


The world is a dangerous place, not because of those who do evil, but because of those who look on and do nothing.
(この世は危険なところだ。悪いことをする人がいるためではなく、それを見ながら、何もしない人がいるためだ。)
アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)

(19-20世紀 ドイツの物理学者。1879~1955)

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。

パリでのオリンピック、どの競技も熱戦でした。観るだけでもかなりの体力を使いました 笑。日本チームも様々な競技で活躍を見せ、すごいなあ、の一言です。陸上トラック種目など、これまで不得手とされてきた種目でもそれを覆すような好成績を残したものもあり、それらは最新トレーニング技術とコーチング、そして日々の鍛錬によるものなのでしょう。特にビデオを使った練習や、国際大会を回ってトップアスリートと接する機会が増えたことも大きそうです。何事も切磋琢磨、自分にも言い聞かせたいと思います。

さて、仕事柄、新規事業担当の取締役の方や部長さんと面談することがあります。大体お話に上がる話は、それぞれの会社の中で新規事業をたくさん建てていかないといけない、そこで我が社はオープンイノベーションに舵を切った、といったお話です。
そうした中で、こんな質問を投げかけます。
「なるほど、本当に切実にご検討なのですね。ただ、世の中には様々な事業があります。貴社として取り組みたいことや、こういう要件が必要、みたいなのはありますか?」
先方のお答は大体こんなものです。
『我々は是々非々で議論して結論をつけていくのが心情なんです。だから新しいことはその如何に関わらずなんでも持ってきてください。』

で、新しいことをご提案に行くとこんなことが起こります。『なるほど、なかなか意欲的な取り組みですね。よくわかりました。我々の方でよく拝見した後に、お返事させていただくようにします。』
丁重なお返事をいただき、翌日にお礼の連絡をした後、1週間ほどしたところでフォローアップの連絡を入れると、これまたよく似た返信を受けます。その中でも二つのパターンを示します。
パターン1:『弊社内で協議を行いましたが、検討するには情報が不十分です。より詳細な情報開示をお願いできますか。』
パターン2:『弊社内で協議を行い面白い事業だという結論になったのですが、お手伝いできそうなことはなさそうです。貴社益々のご繁栄をお祈り申し上げます。』

よくある新規事業開発体制

この二つの返事は違うようで、根っこは同じところにありそうです。
柔軟に対応することを表現するため、なんでも話は聞くという程度にしか仕組みを作ってないことに問題があると言えるのではないでしょうか。
それは、『是々非々の誤謬』と言えそうです。
荀子は修身論で、
『是を是とし非を非とするは、之を智と謂い、是を非とし非を是とするは、之を愚と謂う。』
というのが是々非々の示す意味であり、これができるのが君子であると説いています。つまり、(何事も)受け入れる態度よりも、受け止め判断できる眼が大事
だと謳っているのです。
こうした『眼』を持つには、「どういうことが、(自分たちが考える)良い新規事業なのか」、についてしっかりとした指針を作ることが重要です。そうした指針を作るプロセスは、ロケットサイエンスの世界で「上流設計」と呼ばれる手法で確立されています。
アスリートは自分の競技力を高めるために、様々な制約を乗り越えて成長していかなければなりません。コーチとの出会いや新たなトレーニング手法を取り入れるのも、納得と合意のプロセスなくしては進めない世界だと思います。そんな世界で日々チャレンジしていく姿は新たなパラダイムを感じさせてくれます。
一方、そうした最先端の取り組みが動画メディアを通じて私たちも簡単に知ることができるようになったことは大変ありがたいことです。私もロードサイクルに乗るのが好きなのですが、動画メディアのおかげで、ヒルクライムも少しばかり楽になりました。
世界記録更新があることで、自分たちのいる世界がもっと楽しくなる、なんていいですよね。



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