雨が止み 季節移りて 花焦る ゆるりする人 百合と詠うし
梅雨休み 涼しき空気 大輪が 高貴な香り 空に登るや
遅い梅雨 初めて濡れる 紫陽花や 顔を汚すは 土みず飛沫
夜明け前 伝え鳴いてる 時鳥 たどり着いたは 日の本の国
港町 暖簾誘われて 席につく 街の香りが 染みる器
喫茶店 店に入ると 足震え 彼女座りて メニューを探す
汁すする 竹の香りと 木の香り 豚の誘いと 麺の喉越し
ここの店 味を求めて 足伸びる 鍋の音鳴る 火が着く油
音静か 波も揺れなく 船もいづ 目を閉じれば 華見えるかな
大国が いつしか来ると 構え組む 黄砂が降ると 舟も寄る筈
菖蒲池 竿と昼飯 背負う友 足を引っ掻く 薊の揺らり
茶を淹れて 好きな菓子開け 昼下がり 燕の夫婦が 斜めに走る
目に映る 赤色黄色 花の顔 初夏の花壇は 眩しく香る
木耳や 何者かもも わからずや 影で気の利く お前の姿
海からの 恵み貰いて 大和人 海無くなれば 大和無くなる
レストラン 光の道は うれしやや さじが運ばれ 驚く我や 外食と 父が自慢に 胸を張る 赤い絨毯 サンダル滑る