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Canon EXPO2023(後編)

2015年以来、8年ぶりにCanonEXPOが2023年10月19日から2日間、パシフィコ横浜(横浜市)で行われました。

キヤノンの祖業であるイメージング(カメラ)とプリンティングの最先端技術を会場で目の当たりにしました。

商業カメラマンとして特に気になったのは、未来社会の「眼」となるキーデバイスSPADセンサー(超高感度カメラ)、リモートカメラ、デジタル印刷技術の3点です。

キヤノンといえば、ものづくり集団(研究開発、製造)であるという事を改めて思い知らされた1日となりました。
カメラを愛する方には、胸アツな回となっておりますので、キヤノンの切り開く未来を共有出来れば嬉しいです。

\こんな方にオススメの記事です/
・カメラが好きな方
・キヤノンが好きな方

※キヤノンEXPO 2023の前編をご覧になっていない方はこちらを。



真暗闇の中で撮影できる超高感度カメラ(SPADセンサー)

SMOSセンサーからSPADセンサーへ

カメラの心臓部とも言われるSMOSセンサー。

SMOSセンサーとは、レンズ部分から取り込んだ光を電気信号に変換する半導体のことをさします。光を電気信号に変換することで、デジタルデータ(画像や映像)として再現することが可能になります。
今では普及品として多くのカメラ、スマートフォンに使われているものですが、真暗闇の撮影状況下では、ピントを拾って撮影が出来ないという弱点を抱えています。

これまでの暗所撮影の課題に革命をもたらすのが、SPADセンサー(Single Photon Avalanche Diode)です。

CMOSセンサーは、一定時間に画素にたまった光の量を測る方式に対して、SPADセンサーは画素に入ってきた光の最小単位である光子(フォトン)一つひとつ数える仕組みになっています。画素に一つのフォントンが入ると、そのフォントンから電子へと雪崩のように瞬時に倍増させることができるため、一つひとつのフォトンを一つの電気信号として取り出せます。

端的に言うなれば、CMOSセンサーで入った光を電気信号(写真、映像)として読み出す際に画質の低下させてしまうノイズが混ざってしまい、僅かな光を検出することが難しかったのですが、SPADセンサーではフォトンの個数をデジタルに数え、電気的なノイズの影響を排除することで、暗所でのわずかな光を検出・撮影することが出来るようになりました。

【SPADセンサーがもたらす2つの恩恵】
①暗所から被写体を検出して、鮮明な撮影が可能となる。
②ノイズ発生を抑えることができる。

世界初のカラー撮影用SPADセンサー搭載超高感度カメラ MS-500

一般向けのミラーレスカメラ市場にSPADセンサーが出回っていないので知り得ませんでしたが、既に夜間監視や遠方監視用途での現場では、世界初となるカラー撮影用SPADセンサー搭載の超高感度カメラ MS-500が投入されています。

今後、一般ユーザーの使うミラーレスカメラにSPADセンサーが搭載されたら、これまで夜間など暗所撮影時、多くのカメラマンを悩ませてきた、ピント拾わない問題、ノイズとの長年の戦いに終止符が打たれるかもしれません。

リモートカメラの躍進!番組収録のカメラマンが消える日。

ショッキングなタイトルで驚かせたかもしれません。

実際にはまだ先の話になりますが、TVなどの番組収録型のカメラマンは、リモートカメラを導入することで、メインカメラを操作するカメラマン1名とスイッチャー(カメラ)を管理をする1名がいれば現場が成立する未来を見ることができました。

今回のEXPOの会場では、リモートカメラのデモプレイとして、ステージ上のダンスパフォーマーらをメインカメラ(センター客席側 1名操作)が1台、その他にメインカメラの左右にリモートカメラが複数台設置され撮影が行われました。

こちらが実際のデモプレイの様子。

いかがでしょうか?オートフォーカスもしっかりとダンサーの動きを捉えています。出来上がった動画だけみたら、カメラマンが一人だけで撮影しているものとは誰も思わないことでしょう。

ダンスパフォーマンスやミュージックビデオの収録でリモートカメラを使う制作会社は限られますが、ニュースやエンタメ番組のような撮影頻度の高いスタジオ現場においては、リモートカメラがカメラマンの代わりになると思いました。

進化するデジタル印刷技術

EXPOのプリンティング事業には最新のキヤノン製プリンターが並んでいました。
特に気になったのは、展示されていた大判デモプリントでみた蛍光ピンク色と色の鮮やかさ

蛍光ピンクインクを使った大判プリントを印刷しているところ。
左上女性のネイルでは蛍光ピンクが表現されている。上段のプリントは全体的に色鮮やか。

キヤノンでは、最近のトレンドでもあるディスプレイ上でみるような鮮やかな色表現を印刷物で実現するため、新開発のレッド、オレンジ、グリーン、バイオレットを加えることで高明度、高彩度の色域を実現しました。

言われなければ気づかないけれども、実物の印刷物を従来のプリントと比較するとその差は一目瞭然です。こうした印刷物に対しての色や質感のニーズを形にすることで、少しずつ目指すべき未来に向かっているのかもしれません。


【おまけ】キヤノン製カメラ、レンズ等メカコーナーのご紹介

キヤノンのイメージング事業のコーナーには、最新のミラーレスカメラや交換レンズ郡のラインナップが勢揃いしていました。

メカ好きにはたまらない風景を撮影してきましたので是非お楽しみください。

ミラーレスRFレンズ群
普段なかなか見れないシネマカメラ
奥にあるジオラマ付近ではデモ機を触って撮影体験ができる
EOS R5C +RF15−35F2.8L IS USMを搭載したドローン
EOS C500 Mark 2+CN-N20-50mm T2.4LF

最後に

最新のイメージング事業をみましたが、昨今のカメラ市場は縮小傾向にある中、世界のカメラメーカーとして、最新技術に挑戦し続けるキヤノンの姿に感動しました。

次のEXPOでは、ミラーレスカメラのフラッグシップ機のEOS R1(仮称)やSPADセンサーが搭載された機種が出ていたら面白いかもしれません。

今後のキヤノンに期待したいと思います。


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