ストーリー２

猛暑３日目。
まだ７月だというのにこの暑さ、今年の夏は長そうだ。
「おはようございます。」
職場に着くと、リーダーの村山さんはパソコンで作業中。
神田さんはデスクで何やら紙を見つめて神妙な顔つきだ。
来月のシフト表が各デスクに置かれていた。
思い詰めた顔で立ち上がる神田さん。
「村山さん、私１５日お休み希望出してたんですけど…………」
「え〜、そんなの聞いてないわよ！」
うわ、今日は機嫌悪そうだ。
「病院に行くって紙に書いて提出しました!もういいです!」
え、逆ギレ！？！！
「何よ、私だって忙しいんだから忘れることもあるわよ！あ、ミーティング行かなきゃ。」
村山さんが急いで出ていく。
「もう無理、いつもいつもあの人の機嫌に振り回されて心が擦り減るばかり。もう辞めます。」
これで何回目の辞めますだろう………
「機嫌の悪い時は近寄らないに限るんじゃない？」
「もうイヤなんですそういうの！リーダーなら一緒に働くメンバーを気遣うとか仕事のモチベーションが上がる雰囲気を作るとか、そういうのがリーダーなんじゃないですか！」
だから職場の理想高すぎだって………
「そうね、理想はそうよね〜」
「野原さん、土曜出勤日チェンジしてもらいたいんですけど…………」
桜井さん！？いつから居たの？
「三連休に彼の実家に挨拶に行くことになって………婚約したんです。」
「えーそうなの、おめでとう!私の方は大丈夫よ!」
えーーー彼氏いたの？！
大人しいし、そんな話し全然しないからいないのかと思ってたわーー！
「ありがとうございます。助かります。今週私の当番ですよね、トイレ掃除行ってきます〜。」
「聞こえましたよ私にも。デスクの上はいつもゴチャゴチャ、掃除だって適当だし、そんな感じで結婚して大丈夫なのかしら。」
「最近の若い男子は優しいから大丈夫なんじゃない。うちの娘と同棲してる彼も、マナちゃんは仕事で疲れてるんだから、そんな頑張らなくていいよ～なんて言われて全然家事してないわよ。」
「そんなもんですかね〜。」
「おはようございます!」
岡本くんが出勤してきた。
「ほら、ここにも１人、穏やかで優しい男子がいるじゃない！」
「は？？？」
岡本くんが驚いた顔で見た。