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早川書房『ポストコロナのSF』

仕事の帰りに一駅前で降りて本屋に寄った。 なにか新しいものを読みたくなったからだ。 家の本棚にある「しばらく読んでない本」だとか「買ったきりで読んでない本」を読むのと、その日に本屋で買った新しい本を読むのは違う。 そのような読み方は、10年前の自分は良しとしなかっただろう。 1冊1冊ずつの地続きで「忠実」な読書を是としていだろうから。 それはある意味強迫的で敬虔な気持ちだったが、今はその為に読むと決めた長い本を読んだりで疲弊したくない気持ちのほうが強い。 自分だけのこだわり

    • グレッグ・イーガン『闇の中へ』

      "ワームホールは、生きることのもっとも基本的な真実を具現化している。 人は未来を見ることができない。人は過去を変えられない。生きるとはすなわち、闇の中へ走っていくことである。だからわたしはここにいる。" ━━『闇の中へ』 深夜、グレッグ・イーガンの短編集『しあわせの理由』に収録されている『闇の中へ』を久しぶりに読んだ。 この短編集は、自分が2020年に伊藤智彦監督の『Hello World』というSFアニメ映画をすすめられて見た際、SF好きな主人公が読んでいた作品で、もとも

    早川書房『ポストコロナのSF』