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▲ 物見 №2



▲▼  しらべ  植物   

 それほど広い土地ではないものの、城跡には様々な植物がみられます。Googlemapで椎津城跡周辺を見てみると、周囲は住宅街が広がり、城跡を中心に森が残っているみたいに見えます。城跡と植物と人との関係をみながらどうしてこういう景観になっているのかを追っていきます。


躑躅(ツツジ)

 ツツジがあるのは、椎津城跡の南側エントリーではおなじみの場所で、椎津城跡主郭である、一の曲輪の南東部になります。ツツジは平坦な土地の縁に沿って、柵の内側にL字に植えられていて、遺構(一の曲輪)の輪郭を示す役割があります。整備作業の際にはここに皆さん集結します。
 
 平成29年に、椎津七町会連合会と市原市教育委員会が協力して椎津城跡の整備活動を行うことを決めた協定式に合わせて、アジサイと共に植樹されました。
 地元住民からの要望で植えられたもので、現在では「史跡椎津城を守る会」の有志が管理しています。


2月のツツジ

 
「躑躅」の表記の由来ははっきりとはしないのですが、立ち止まるほど花が美しいからとか、羊が葉を食べて飛び上がって死んだとかあるようです。
 それにしても、ひらがなやカタカナ表記に比べ、書く気力を奪うほどの画数です。

 種類が多く花の色もいろいろですが、代表的な赤紫色は、「躑躅色(つつじいろ)」と言われ、清少納言の枕草子第二百六十六段に 

下襲は、冬は躑躅、桜。掻練襲かいねりかさね。蘇芳襲すおうかさね。夏は二藍ふたあい、白襲しらがさね。

枕草子

 とあって、平安時代からみられる伝統色であることがわかります。ちなみに清少納言は、第二百六十三段から4段続けて衣服について書いていますが、単衣(平安装束で着用する裏地のない着物)についても触れて、「単衣は白がよい」としていて、更に「黄ばんでいる単衣を着ている人は、ひどく気に入らない」と辛めの評価。ぎくりとするのは私だけでしょうか。
 
 椎津城跡に植樹されたツツジは、平戸躑躅(ヒラドツツジ)という、江戸時代に各国から集められた躑躅が自然交配してできた種類。現在長崎県平戸市の亀岡公園にはヒラドツツジの原木園があるとのこと。
 
 花の開花は4月中旬から5月中旬。春の花です。



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