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擬似おたふく

1週間前に右耳の下周辺が腫れて、食事をする度に痛い。奥歯が痛いような、リンパが痛いような。

これは歯科なのか?内科なのか?と言いながら普段は行かない腕がいいと噂の耳鼻咽喉科に行った。(かかりつけがお休みだった)

先生が恐ろしく愛想がない。逆に期待できる。結果は恐らく耳下腺炎とのこと。

耳下腺炎といえばおたふく風邪。
おたふく風邪は流行性耳下腺炎といってムンプスウイルスによるものらしい。可愛い名前に似合わず、大人がかかると結構重症になったりする怖いやつ。

私がなったのは流行じゃないやつで、細菌とかが入り込んでなるやつ。
いまだおたふく風邪にかかったことない私、間一髪で生き延びる。あぶねー。

とはいうものの「恐らく」とか言われてるし、処方された抗生剤は聞いてるのかよく分からないし、耳下腺炎じゃない可能性も含有しながら1週間たった。
だいぶ痛みも腫れも引いて、抗生剤と言うよりは自分の免疫で治してやったという自負を感じつつご飯を美味しく食べる。


その1週間後

、、、、左の耳下がいたい。これは知ってる。1週間前の直前に感じた違和感と同じだ。
、、、、くる。またあの痛みが??まさかの反対側の耳下腺に転移。ガンじゃあるまいし転移という言い方が合ってるかは分からないが、気持ち的にはそんな感じ。最悪だ。

耳下腺というのは唾液を作り出す部分である。食事をするということは唾液をだすということに他ならず、味を感じると耳下腺を雑巾のように絞る痛みが生じる。最悪のピタゴラスイッチ。痛みを感じ無いためには食事をしないのが1番である。デッド・オア・ペイン。死ぬ訳には行かないので、生命を得る代わりに痛みという代償を払う日々。

あの日々が、またやってくると言うのか。しかし今回は1週間前の私とはひと味違う。もう対処法もわかってる。とにかく早期治療が大事だ。あまり人間を舐めるなよ。覚悟を決めていざ耳鼻咽喉科に向かおうと家のドアノブに手をかけた。

その時、私の目の端が1冊のノートを捉えた。

母子健康手帳である。幸せそうな顔をした母親と赤ちゃんのイラストが書かれたピンク色の母子手帳。


唐突に蘇る1か月前の記憶。ムンプスワクチンを打った記憶。



思い出した。全て。

子供の時におたふくかかった事が無い子だったから、完全な大人になる前にと、打った、あの記憶。いつもの馴染みのかかりつけ医で打った、やさしいやさしい看護師さんが打ってくれた、あのワクチン。

あれじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!


まるでミステリー小説の主人公が謎を解決する最後の一手となる資料を見つけた時のように、ワクチンを打つ前に医者から貰った紙を見返す。

「副反応:4週間経過頃に、まれに耳下腺が腫れることがあります」

ちゃんと書いてある!!!!!!読め!!ばかちん!!!!!!!




そんなわけで、私のおたふく人生は幕を閉じました。結局腫れそうだった反対側の耳下腺は、病院ではなんの処置もされず、処方もされず、腫れもせず、静かに痛みは故郷へ帰っていきました(?)
お騒がせやろうめ。




というか、おたふく風邪になりたくないからワクチン打ったのに、おたふく風邪と同じような症状経験するとはこれいかに。

人間は必ず人生でおたふく様症状を経験しなければ行けない決まりがあったみたいです(ないです)。

おたふく症状を経験せずして、大人にはなれずなんて言いますもんね(言いません)。


兎にも角にも、このような奇々怪々な経験を通して、私はムンプスウイルスの抗体と、説明はちゃんと読めという教訓を得ることが出来ました。良かった良かった。






「ムンプスワクチンの効果を高めるためには、2回の接種が確実です。」


え????????


どうやら、俺たちの戦いはまだおわってなかったみてえだ。
さ、もうひと頑張りいくとすっかぁ!!!!!

戦いはまだまだ、続く……!!!!

‪☆ご愛読ありがとうございました
  鵜先生の次回作にご期待下さい!!!


うーん。





茶番。



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