ポエム＆ポエム

『哀しみ』

この哀しみをどうして慰めよう
入道雲がもくもくと沸きだすように
哀しみが溢れてくるのです

失われてゆく何か
私を離れて変わってゆくものたちへ

汗ばんだ胸
濡れた髪
　沈みゆく太陽

わたしの哀しみは
あの白い雲のように
　生まれて来るのです

そうして、理由もなく
喪失へと
連れてゆくのです

この哀しみは
どこから来るのでしょうか？
　虚ろう季節の向こうで
哀しみが叫んでいるように…

あなたに抱いてほしいと願うのです
強く抱いて欲しいと願うのです
もう、何処へも行かないように…

子供のように泣きながら
抱かれてみたいと思うのです

この哀しみは
何処から来るのでしょうか？
わたしの乳房の傍らで
嘗て眠りについた
あの子のように

あなたに会いたいと思うのです
哀しい夕暮れどきに
家路に着く一時に
あなたに会いたいと思うのです

─　林　花埜　─