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ポエム&ポエム

『 蛾 』

だるような暑さ
気だるい夏の夜

窓の灯りに群がる虫たち
何を見ているのだろう?

漆黒の闇に飛ぶ蛾
黒く光る眼

私の何を見る?
やつれた心?
萎れた心?
失われた愛?

あの娘は若いよ
あの娘には負けるよ

初めから無かったんだよ
恋なんて

初めから夢を見てたんだ
だけどね

だけどね さみしいよ
だけどね 悲しいよ

翅をバタバタ鳴らす蛾
ちっとも綺麗じゃない

だけど蛾はそんなこと知らない
明るい蛍光灯の光りが好きなんだ

本を読むように
空想していた
恋をしていた

どこで?
どこでもない宇宙でさ!

だけど 
あの綺麗な星には敵わない

窓から蛾がバタバタ翅を鳴らす
この沈むゆく哀しみを
お前はわかるのか?

硝子越しの恋なんだと
お前は知っているのか?
叶わぬ恋の捨て場所を
教えておくれよ

何故だ! 何故こんなに 
こんなに胸が苦しいんだ?
教えておくれよ
お前の美しい黒い眼に
どんな私が見える?

バタバタ翅を鳴らして
みっともないよ
そんな哀しい眼をしないでおくれよ
惨めになるだけなんだよ
ポエム&ポエム


─ 林 花埜 ─

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