11 緊急ルールミーティング

今回、あまりにスポーツ紙、マスコミが騒いだため、審判団が集まり、キンタマルールについてのルールを協議することになった。

ここから書くことは後から知ったことである。

緊急ルールミーティングである。

審判委員長「キンタマに当たってしまった場合、当たったほうのチームに一点が入るということが、こんなにも野球の本質を変えてしまうとは」

審判A「はい!僕も、子供が学校でいじめられてます。お前のお父さんは、キンタマルールを作った奴なんだろって」

審判委員長「君もかね。実は私もなんだよ」

審判A「どうにかしなければ」

審判委員長「うむ。しかし、キンタマルールを一度作ってしまったのに、変えると、人権派団体などがうるさい。困ったものだよ」

審判A「それに、世間では、気になるウワサも流れています」

審判委員長「気になるウワサとは?」

審判A「両チームのキャッチャーとも、実はキンタマにボールが当たっていないんじゃないかというウワサです」

審判委員長「それは、両方のチームのキャッチャーともかね?」

審判A「そうです」

審判委員長「うーむ、やはりそうだったか。さしづめ、キンタマを守るファウルカップを規定違反のものにしていたのだろうな」

そして、このような緊急ルールミーティングの末、キンタマルールは次のように改訂された。

ちなみに、キンタマルールは、来期のペナントレースから採用されるという規約である。

一、キャッチャーのキンタマ(以下、キャンタマ)にボールが当たった場合、そのキンタマの持ち主の所属チームに一点が入る

一、キャンタマにボールが当たった場合、主審が必ずキャンタマを直接目視し、その腫れ具合などから、本当に当たったかどうかをチェックせねばならない

一、主審が直接目視して、判断が難しい場合、塁審を呼び、審判団全員で判断する

一、主審が直接目視して、当たったと判断した場合、仮にキャッチャーが「本当は当たっていなかった」と申告しても判定が覆ることはない

一、主審は、キャンタマの腫れ具合を確認する必要があるため、試合前の腫れる前のキャッチャーのキンタマの状態を確認する

一、主審はそのため、朝八時には起床しなければならない

一、主審が確認できない場合は、他の審判が確認するため、主審と他の審判が朝、同じ朝食メニューを食べてはいけない

と、ルールブックというものは、厳密性を重んじるため、どうしてもこのように、長くなってしまう。ここに挙げたのは改訂されたキンタマルールのほんの一部である。

読者には、最後の条文の“同じ朝食メニューを食べてはいけない”だけ一応説明しておこう。

これは、飛行機が墜落してはいけないので、機長と副操縦士がフライト前に同じメニューを食べてはいけないという規約と類するものである。

つまり、機長が食あたり、または毒物混入などにより操縦が困難な症状を引き起こしても、副操縦士が代わりに操縦できるようにするためである。

もし、同じメニューを食べていたら二人とも操縦が困難になってしまうため、リクスを分散するのである。

キンタマルールの最後の条文も同じである。

もし、主審が試合前のキンタマチェックができなくても、他の審判がキンタマをチェックすることができるように、同じ朝食メニューはとらないのである。

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