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部外者は「二次避難がいいじゃん」って思うけど(2024/03/03)

 夫の実家が石川県の能登地方にあり、親族は令和6年能登半島地震により被害を受けた地域に住んでいるため、地震発生後からニュースやその他情報はずっと追ってきました。(当方は関東在住。)

 先月に、夫が災害ボランティアに参加した関係で、家族で金沢に泊まりました。そのときの記事がこちら↓

 金沢に二泊したうちの一泊は、完全セルフサービス式のアパートメントホテルでした。上記の記事でも少し触れていますが、宿泊場所にスタッフはおらず、暗証番号で集合玄関と個室の鍵を開錠して入室するスタイルです。ミニキッチンや洗濯機など、最低限の生活を送るのに必要なものが備えられていて、主に外国人観光客をターゲットに考えられているような、長期滞在型の簡易宿泊施設です。

 建物は比較的新しい感じで、清潔感はありました。しかし、上述したように、コストカット&サービスカットの施設のため、無機質な感じは否めません。当たり前ですが、スタッフが誰もいないので、建物内部が寂しい感じです。室内には滞在客は居たかもしれませんが、階段やエレベーターフロアなど、とても寂しい雰囲気でした。立地的にも、人通りの少ない寂しい場所でした。

 「宿は寝るだけ、とにかく外で観光を満喫したい」という目的の方や、「とにかく宿泊費は抑えたい」という方には合理的な宿と思います。

 その宿には、集合玄関の内側に、「二次避難者様用・弁当手配有無のアンケート」の用紙が置いてありました。どうやら、能登半島地震の被災者の方が二次避難されているようでした。

 私は、以前からvoicyでちきりんさんの放送を聴いていたので、「過酷な避難所生活に耐えるくらいなら、ホテル等に二次避難できる人はしたほうがいい」という趣旨の話を聞いていて、自分も同意していました。テレビでも、作物栽培用のビニールハウスを自主避難所にされている方々の報道を見ていて、「あんなにほぼ外気みたいな環境にいるなら、二次避難もしくは1.5次避難したほうがいいのに・・・」と思っていました。

 しかし、今回の宿泊先だったホテルが二次避難場所になっていた場合のことを、実際の場所を自分の目で見て感じたことは、「高齢者の方にこの環境に避難しろっていうのは厳しいだろうな」でした。
 ご近所さん同士で近くに避難できるならともかく、そういった個別の事情までは考慮されないでしょうから、ホテル避難になった場合は、基本的に周りに知り合いが全くおらず、部屋に籠る時間が長い生活が想定されると思います。
 現役世代・子育て世代だと話が変わってくると思うのですが、今回の地震で被害が大きかった奥能登地方は特に高齢化が顕著な地域であり、高齢者の避難という前提で話をしていますが、部屋に籠って他人と会話しないという生活になると、心身共に健康面で悪影響であるだろうなと思いました。

 先日ニュースを見ていたところ、奥能登から金沢方面に二次避難をされていた高齢の方が、避難所生活となる地元へ戻ってこられたという話がありました。「避難所生活だとしても、地元のほうがよい」とのことで、今ならその気持ちが少し理解できると思いました。

 極端に過疎化が進んでいる地域のインフラの再整備に係るコストを考慮すると、元の状態に戻すことに多額の費用をかけるのは地元住民のわがままだという考え方があることも理解できます。何の具体案も出せないですが、立場によって人の気持ちは様々ですし、本当に難しい問題だと思います。

 結局のところ、「Aという考え方もある。しかし、Bという考え方もある。」などという、どっちつかずの表現の、「意見になっていない記事」となってしまいました。しかし、実際に二次避難所となっているアパートメントホテルの様子を自分の目で見て、「実際に自分の目で見て感じること」は、想像だけしているときとは、また理解が変わるということを痛切に感じたことをお伝えしたかったのでした。

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