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偶然の祝福を読んだ

博士の愛した数式のイメージそのままに、勝手に癒やし系の小説だと思いこんでいた。冒頭から失踪者の話で戸惑った。

次の盗作も不穏な空気を漂わせ、最後に一撃喰らわされた。ラストを読んだ直後に思わず冒頭を読み返した。

ドロリ。心の壁を粘度たっぷりの何かがつたう様な感触が読みながらずっとそこにある。主人公の飼い犬のアポロの温もりが愛おしい。

個人的には時計工場で時計に向き合う主人公の姿、そしてその席にすがる姿が印象的だった。究極に孤独なはずのその場所があることに一種の羨ましさを覚える。

一生懸命毎日を送ってる人におすすめしたい一冊でした。


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