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自分のアタマで考えよう

情報を見て考えられることを列挙せよと言ったら、いい面と悪い面の両方出てくるのが、知識に騙されていない純粋な思考の結果である。
その上で結論は各人がひとつ選ぶ。
最初からどちらかの意見だけが浮かんでくるとしたら、その思考には目の前の情報以外のバイアスがかかっていると疑うこと。
新しい情報を見たのに既に頭の中にある知識を引っ張り出してきたら新しい思考は生まれない。

よく知らない分野では革新的なアイデアを受け入れる人も、自分の専門分野では驚くほど保守的であったりする。
保有する知識が多すぎて、斬新なアイデアも既知の知識で否定してしまう。
知識が思考を邪魔しているということ。

逆に思考力がある人は、自分の専門分野においてさえ革新的。
時代が変わり、世の中が変わり、新しい情報に触れた時、過去の知識ではなく、目の前の情報で考えることができるかどうかが、考えるこ
とができる人と、そうでない人の分岐点。できる人は時代の変化に気づく人ともいえる。
知識の中で特に影響力が大きいのは、成功体験と結びついた知識。

知識と思考は異なるものと認識すること。

未知の世界に向けた新たな思考を拓くには、知識、つまり過去において他人の頭で考えた結果ではなく、自分の頭で考えることができなければならない。
他人の思考は正しい場合もあれば間違っている場合もある。

金髪に鼻ピアス、ずり下がったジーンズで信頼できそうにないというが、現実で信頼できない若者を1人でも知っているのか。
マスメディアに刷り込まれているだけではないか。

自分の頭で考えることは、それはまず知識と思考をはっきりと区別することから始まる。頭の中から知識を取り出してくるのではなく、むしろ一旦思考の舞台の外に分離することが重要。

意思決定のプロセスは情報収集を始める前に考えるべき。
それに合わせた必要な情報だけを集めればよくなるから。

思考とはインプットである情報をアウトプットである結論に変換するプロセス。
私は考えたと言って、結論を聞かれた時に何も浮かんでこないのは、考えていないということ。

考えるとは決めること、結論を出すこと。
作業は思考ではない。

考える力をつけるには、1日に考えるのに使った時間を見える化し、意識すること。

考える力をつけたいと言いながら、本ばかり読んで情報収集に時間を使っていても、考える力はつかない。
自転車に乗りたいなら、自転車についての本ばかり読むのではなく、実際に自転車に乗る時間を増やすのがもっとも有効。

情報を見た時に考えるべきことは、なぜ?とだから何なの?のふたつ。
なぜ?は数字の背景を探る問いで、全ての数字には理由がある。
だから何なの?は、次に起こることを予想し、それに対応するために何をすべきかを考える。


少子化のなぜ
①戦後すぐ出生数が多いのは、男性が家庭に戻ってきたこと、平和な時代が訪れたことによるベビーブーム
②その後急激に減ったのは、優生保護法改正で経済的理由による中絶が認められた。
また、人口が増えすぎることを懸念し、避妊知識を広めるなど、少子化を推進したから。
さらに、衛生状態と医療の進化で乳児死亡率が下がり、多くの子どもを産む必要がなくなったこと、農家から都会に人が移り、人手が必要でなくなった。
③1966年だけ出生数が低いのは丙午(ひのえうま)生まれの女性は男性を食い殺すという迷信から。次の丙午は2026年。
④1971〜1974年に出生数が多いのは、団塊の世代が20代前半となり子供を産み始めたから。(第2次ベビーブーム)ちなみにこのでは、合計特殊出生率が高くなった訳ではなく、親の人数が増えたからという点に注目。
⑤1970年代半ば以降出生数がまた減ったのは、親世代の人数が少ないことから。合計特殊出生率は微減であるが。
⑥ここ15年くらい出生数も合計特殊出生率も横ばいなのは、団塊ジュニア世代が25歳ではなく、35歳くらいまで駆け込み出産を続けているから。団塊ジュニア世代のベビーブームの山はなく、グラフを横ばいにしている。

少子化対策は2つある。
合計特殊出生率を上げるか、親の人数を増やすのか。
日本で手を打っているのは前者だけ。いかに多くを産んでもらうか。
後者は移民受け入れである。
合計特殊出生率の向上で親世代の人数を増やすには30年もの年月が必要となる。

よくフランスやスウェーデンで少子化対策が成功したと報じられるが、合計特殊出生率は人口維持できる2.07に近づいているというレベル。
そもそも親世代の人口が急激に減ることが確定している日本は、それらの国と同様に事実婚での子供の養育支援、バカンス、育休などの施策を始めても今後の大幅な出生数の減少を覆すことは難しい。

出生数が減ることと人口が減るという2つの概念は混同してはいけない。
欧州の先進国の人口は日本ほど多くないから問題ないという人がいるが、日本は出生数が急激に減少している国。
出生数の減少は人口が減ること以外に高齢者が増え、子供が減るという人口構造の歪みを生じさせる。
この歪みにより生じる問題は、稼ぐ人口が少なく稼がない人の扶養ができなくなること、以前は40歳未満が買っていたモノやサービスを販売していた企業の売上の落ちこむこと、医療や介護する人手が落ち込み高齢者向けの産業ニーズが高まっても人手がいないこと、そうした産業をロボットで対応しようとしても子供がいないということは希望や未来がない社会であること。
つまり、出生数の減少は、財政・社会福祉制度の破綻、産業構造の変化、深刻な人手不足、社会の活気の消失などさまざまな問題を引き起こす。

出生数を増やすための方法は、親世代の人数を増やすか合計特殊出生率を高めるしかない。
合計特殊出生率を高めるには、保育園の整備(待機児童の解消)、育児手当の増額、事実婚制度を整える、育児休暇取得率を高める。
親世代の人数を増やすには、移民受け入れ。
将来の働き手を外国人で補填することは議論の必要はない。

考える力をつけるためには一つの情報に対して十分な時間をかけてとことん考えること。情報収集やグラフ化に1時間かかったなら、データを見ながら同じ時間考え抜くべき。

ネットや図書館で資料を探すことは知る、調べるという行為。過去のデータから自分で予測することは考えるという行為。
ビジネスに関していえば、自分で考えることが出来れば他者に先んじて準備を整えられる。正しい予測が出来ていれば、大きく成功する。
知識を得ることも大切だが、同時に自分の頭で考えて予測してみることも意味のあること。 


例)70歳まで働ける企業の実現に向けたシンポジウム
・なぜ
 定年を延長し生産人口と非生産人口(高齢者)のアンバランスの解消。
・だから何なの
 銀行員であれば、35年でなく、40年ローンが貸し出せる
 定年したら第二の人生楽しもうとしていた人は、若い頃から楽しもう
※このようにみると、今まで見えなかった社会の動きが見え始める

あらゆる全ての選択肢を網羅的に洗い出すには分解図を使って考える。
全て洗い出せたかはあらゆる可能性を考え、思いを巡らせ、他にないと言えるか考える。

失敗経験のある人はその失敗から正しいやり方を学んでいる。
※正しい方法論の学びの機会

シリコンバレーでの評価法

考えるために最も役立つ分析手法は比較すること。誰にとっても身近な手法。

比較の基本は縦と横。
縦と横に見る視点が重要。
縦:時系列的比較。歴史的な観点からみること。
横:他者比較。国際的な視点からみること。

失われた20年。冷戦終結から自民党以外を選ぶまでの政治的混乱の時代。
戦後の冷戦時代、共産主義にならない、資本主義として成功を収めるために誕生した自由民主党(55年体制)。
国民は自民党以外の選択肢はなかったが、戦後初めて自由な選択肢を持ったが、まだまだ戸惑っているのかも。

決められないのは、選択肢が多過ぎるからではなく、判断基準が多すぎるから。
判断基準に優先順位をつける。今最も中やな基準はどれかを見極め、思い切って判断基準を仕分けする。
目指すべき姿を実現するために、判断基準を2つに絞り込むなど。

政治に関していえば、政治家も政党も個別政策でなく、日本は今後どんな国を目指すのか、という目標を掲げて政権を争うべき
個別政策だけ見ていたら、全て大事だ、となってしまうのは当然。

判断基準を絞り込んだ人だけが、結果を得ることができる。
優先度の高い基準を選ぶと、細部が省略され、本質が浮かび上がる。

考える時に注意することは思考のレベルをそろえること。

「誰のための省庁か?」
※消費者庁という省庁が2009年新しくできたが、消費者のための省庁が必要になるのは、相変わらず他の省庁がひたすら業界の権益確保や規模拡大のために存在しているから。既成省庁がいかに消費者側に立っていないかということ。

レベルをズラすことによって議論を回避するという目論見もある。
レベルをそろえると本音がわかる。

就活のためには、情報でなくフィルターが大事。

大学生でいうと学生をお客様扱いする日本の大企業のインターンと違い、米国では一年生の時から休暇ごとにインターンやアルバイトを経験。夏休みに複数のインターンを経験する学生も少なくない。

ドイツでは8年から10年学生を続けながら、毎年あちこちでインターンを経験し、30歳くらいで最初の就職を決める人も少なくない。収入以外のものを職業から得たい若者にとって、仕事選びは数時間の会社説明会や先輩訪問で決められるほど簡単ではない。
複数の企業で職業経験を積むことにより、自分に向いた職業のフィルタリングを理解する。

ひとつのフィルターはある特定の個人に有効なのであって、誰にでも使えるわけではない。
本来の就活とは自分に合った独自のフィルターを見つけるための活動。

今の日本の就活の問題は、自分のためのフィルター探しでなく、企業情報ばかりを必死に追っている点。

著者流の仕事の4分類
・成長の仕事
 伸び盛りのベンチャーなど
・支援の仕事
 弁護士やコンサルなど経営者等を側面支援
・運営の仕事
 工場や物流センター
・再生の仕事
 事業の立て直しなど
※経営者になりたいと思ってもこの4分野のいずれかで経営を担当するかで向き不向きが分かれる

ビジネスの世界では、新たな選択基準=新たなフィルターを提示することをゲームのルールを変えるという。
重要なことは与えられたフィルターに何の疑問も持たず、必死に頑張ることでなく、自分独自の選択基準を見つけること。個人も企業も。

もっともらしいデータは疑わしいデータより危険。
たとえ権威ある報道機関からの情報でも本当かと疑う気持ちとデータを追い求めて深掘りすることが自分の頭で考える時には必須。

考えるための訓練をするためには、ます考え、後から知識として他の人や専門家が考えたことを調べるのが適している。そうすると対比ができる。
異なる結果となったらその思考方法を学ぶことで、ひとりひとりが考える力を伸ばすことができる。

思考の過程において、自分の考えをまず、言語化し、次に視覚化する、
図や絵を思考ツールとして活用することができる。
細部まで突き詰めて考えていないと、思考を図にすることはできない。
言語で考えていた時に抜け落ちていた思考部分について、絵にするためには明確にする必要がある。
それがキレイに表現できるまで突き詰めて考えることができれば、なんとなく浮かんでいたアイデアは一気に具現化する。

何を見ても、聞いてもなぜそんなことを思いつくの?という人の頭の中に入っているのは、大量の知識ではなく多数の思考の棚である。

頭の回転が速いと言われている人は、すでに考えてあった結論を思考の棚から取り出している。つまり、思考自体がすでに完了していたということ。

情報の価値とは、その情報によってわかることの価値で、それで何がわかったのか?何が言えるようになったのか?を明確にすることにより、妥当な情報入手コストも明確になる。

私たちは日々大量の情報を得ているが、それらの知識をそのまま保管するのではぬくら必ず思考の棚を作り、その中に格納すること。
単純に知識を保存する=記憶するのではなく、知識を洞察に繋げられる仕組みである思考の棚をつくる、これこそが考えるということ。

今の時代、知識はわざわざ自分の頭に保存してなくても欲しい時にいつでも手に入る。
もはや単純な知識の記憶は大して意味のある行為ではない。
一方、人はじっくりと考えたことは知識よりも圧倒的に長く記憶に残せる。
思考は知識より忘れにくい。

現実の社会には誰かがあらかじめ用意してくれた解放が存在しない課題がたくさんあることに気づいた。
著者は答えを先に読むのをやめた。
天才が考えだした正しい答えを、自分で考える前に読んで知識として覚えるのをやめた。
どの分野でも自分の頭で考えれば考えるほど稚拙になり、間違いも多くなる。
偉大な先人などの知恵に素直に耳を傾け、知識として学んだ方が自分の頭で考えるより圧倒的に効率はいい。
しかし、自分の答えは荒削りだけど、ユニークで面白い。
古典や名著を読むなと言っているわけではない。
本来、先人の素晴らしい功績を知識として学び、さらにその上に自分の頭で考えるのが理想。
答えとしての知識が目の前に現れると、考えることを放棄する人は、まずは考えることが知ることとは違うのだと理解することを知りなさい。
知識を思考にどう活用するかを学ばないと知識を蓄え、覚えるだけになってしまい、考える力はどんどん減衰する。
自分の頭だけで考えていると最初は泣きたくなるくらい幼稚なことしか考えが浮かばないが、そこはグッと堪えて自分で考える。
非効率ではあるが素晴らしく楽しい思考の世界を楽しもう。

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