撮り鉄に自浄作用を求めるのは正当か?

撮り鉄が法(あるいは規則、マナー)に反した行動を取ったというニュースが流れるたびに、「違法行為を行うのは撮り鉄の一部である」、「確かに違法行為を行うのは一部ではあるが、撮り鉄には自浄作用が働いていないので撮り鉄の評判が悪くなるのは仕方がない」といったようなツイートがされるのがツイッターお決まりのパターンになっている。確かに撮り鉄に自浄作用は働いていない。しかしだからといってルールを守る撮り鉄にまで責任があるといえるのかについて考えたい。

議論の混乱を避けるため自浄作用の定義についてまず確認しておく。自浄作用とはこの場合、「集団の構成員が不適切な行為を行った時、それが再び起きないよう集団が自発的に有効な対策を取る」ことだと考えていいだろう。自浄作用がうまく機能するためには最低限次の条件が満たされていなければならないだろう。

  1. 集団がある程度まとまっていて、何を行ってはならないかに関して同じ認識を共有することができる。

  2. 集団がルールを破った構成員に対して、何らかの罰を与えることができるまたは集団から追放することができる。

1は不適切な行為の再発防止のために、集団内での決まりを作るために、2はそれを順守させるために必要である。

撮り鉄は1の条件を満たしているかもしれないが、2の条件を満たすことは不可能だろう。SNS上での批判やその場に居合わせた他の撮り鉄による注意では有効な罰とはなりえないだろう。またそもそも違法行為を行うような遵法精神の低い人に直接注意するのはリスクが高すぎる行為である。最悪の場合は暴力を振るわれる可能性もある。よって撮り鉄に自浄作用が働いていないことを責めることは不当だといえるだろう。撮り鉄とは政党や会社などと違って、連帯責任を問えるようなまとまった組織ではないのだ。




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